日本企業にプラスとマイナスの両面
中国依存の軽減に役立つものの…
今回の対米投資の影響は、日本企業にプラスとマイナスの両方があるだろう。日米政府が発表した覚書によると、戦略的投資の目的は経済・安全保障の利益促進だ。
まず、人工ダイヤモンドは、自動車や航空機の部品、半導体製造などに不可欠なものだ。研磨や切削用途の工業用ダイヤモンドでは、中国が世界シェア90%程度を握っているとみられる。
米国にとって、日本の製造技術を導入し人工ダイヤモンドを生産することは、対中依存を軽減するのに必要不可欠だ。日米両国が経済安保の連携を深めることにもなる。日本企業の米国事業にもプラスに働くだろう。ただし、米国で製造したダイヤモンドが、日本にどのように供給されるか詳細は明らかではない。
ガス火力発電事業は、主にAIデータセンターへの電力供給で重要性が高まっている。わが国では、大阪ガスが米国で発電事業に参入した。関連分野の成長への期待は高い。原油輸出インフラ整備に関しても、国内企業が米国で収益を獲得するきっかけになり得る。
一方、マイナス面にも注意が必要だ。現在のトランプ政策を踏まえると、マイナスがプラスを上回る懸念さえある。
そもそも、米国で事業を運営するコストは高い。熟練労働者も不足している。昨年、ジョージア州にある韓国ヒョンデ自動車の工場で、475人が米当局に拘束された。この件は、人件費と熟練労働者の確保の両面から、米国事業の難しさやリスクを浮き彫りにしている。サプライチェーンの構築にも手間暇がかかる。
何より最大の懸念は、トランプ氏が投資の意思決定権を持つことだ。しかも、過去の発言を見る限り、政策の予見性は低い。そうした点を考えると、米国での製造が計画通り収益化できるか、不確定要素は多い。日本企業にプラスと楽観するのは時期尚早だろう。







