IPLの貢献例である
クリーン水素の事業化
――事業戦略の検討についてはいかがでしょうか。
笠井 当社は新規事業として再生可能エネルギーによるクリーン水素の製造を可能とする水素製造アルカリ水電解システムの事業化を目指しています。クリーン水素とは、生成時に二酸化炭素の排出が少ない水素のこと。水を電気分解して水素を取り出す「アルカリ水電解」という技術を用いて、カーボンニュートラルの実現を目指しています。
当社単独ではこの事業は成り立たないので、サプライチェーン横断での連携が不可欠です。そこで「どの企業と組むと技術的シナジーが高いのか」「将来の市場構造を見据えたときに、どの位置に立つのが有利か」といった問いに対して、IPLを用いた分析を行いました。これにより、早期事業化につながる水電解システムにおけるパートナー候補を提案することができました。
また、当社が50年以上続けてきた「食塩電解(イオン交換膜法)」の技術ノウハウ・特許網が、大型のアルカリ水電解という分野において圧倒的な参入障壁になることが明確化されたことで、経営判断の後押しにもなりました。
IPLによる貢献事例(提供:旭化成)拡大画像表示
――具体例を聞くと、IPLの大切さを痛感します。
笠井 一方開発戦略の検討では、そもそも「どんなテーマに取り組むべきか」という問いに向き合うこともあります。これには主に2つのパターンがあります。
一つは、ある程度お題が決まっているケースです。例えば「この会社と組む方向で検討している」「この領域に進出したい」「妥当性を技術視点から検証してほしい」といった依頼が事業部やR&D部門から来るケースです。
これらは仮説がすでにあるので、技術的な裏付けを求めてIPLを使って確認していく。比較的取り組みやすいケースといえます。
もう一つは、仮説がない状態からの提案です。「将来に向けて、どんな開発テーマに取り組むべきか」「どんな会社と組む可能性があるか」といった、いわば白地のキャンバスからの問いです。







