組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿#7Photo by Hirobumi Senbongi

農協職員が営業ノルマを達成するために、本来不要な共済(保険)を契約する“自爆営業”や、契約者の利益にならない不正契約が発覚したことを受け、JA共済連は、共済契約の実態調査などに乗り出した。だが、農協はそうした共済連の是正策を評価していない。特集『組合長165人が“辛口”評価 JA上部団体の通信簿』(全17回)の#7では、農協役職員アンケート(有効回答数434人)の結果に基づき、農協ごとの共済の推進目標の決定方法や、2023年度の職員のノルマが軽減しなかった実態を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

年間300万の共済に家族で加入した農協役員も!
自爆問題の発覚後、職員の6割は「負担減らず」

 ダイヤモンド編集部は、農協の役職員にJAグループの上部団体への評価を聞く「農協役職員アンケート」を実施した。同アンケートは、(1)全国に約500ある農協の法人登記に代表理事などとして住所の記載があった農協の組合長、会長らにアンケート用紙を郵送、(2)インターネットで広く回答を募集――という二つの手法で行い、合計434人から回答を得た。

 ダイヤモンド編集部は、農協役職員アンケートの結果に基づき、JAグループの主要12組織(JA全中、都道府県の農協中央会、JA共済連、農林中央金庫、JA信連、JA全農、JA経済連、日本農業新聞、家の光協会、JA全厚連、全国農政連、みのり監査法人)の支持率を算出した。JA共済連に対する農協役職員からの支持率については、本特集の#2『JA共済連は農協職員の7割が支持しない「嫌われ者」、それでも組合長からは重宝される理由』を参照してほしい。

 共済連に対する支持率が極めて低いことの要因として、共済の推進目標の“納得感”を得られていないことが挙げられる。「目標は、農協が自主的に決めている」というのが建前だが、実際には、「目標は共済連から一方的に割り当てられている」と感じている農協役職員が少なくないのだ。

 次ページでは、これまでベールに包まれていた農協ごとの共済の目標の決定方法や、2023年度の職員のノルマが軽減しなかった実態を明らかにする。