我々の研究で示されたのは、経営者報酬の水準が、同業他社の水準を参考にして決められていることです。つまり、社会の目を気にした企業が、経営者報酬を決定する際に同業他社を参考にした動きをするのです。
もちろんこれには社会の目以外に、税制などいろんな原因が考えられますが、日本では経営者報酬も「周りの目」を気にして決められている可能性があります。
企業が示したKPIと
報酬額は釣り合っているか?
経営者報酬を決める際には、業績評価がベースとなります。先のANAの例でみたように、何らかの業績指標が決定され、それに基づいて業績連動報酬や株式報酬が与えられることがほとんどです。次はこの業績評価に着目しましょう。
企業内部での業績評価は外部に漏らすことのできない、いわゆる「禁則事項」です。多くのビジネスパーソンが人差し指を口元にもってくるでしょう。企業内部の業績評価の仕組みは、私のような企業外部の人間からは原則としてみることができません。
企業内部の業績評価を対象とする管理会計分野での業績評価研究の難しさはここにあります。
しかし、経営者を含む役員の業績評価方法は、有価証券報告書をとおして開示されているケースが多くみられますし、金融庁も開示を求めています。このとき、どのように業績評価を設計すればよいのでしょうか。
金融庁が公開している開示好事例集の「8.役員の報酬等」では、「長期インセンティブ型報酬のKPI(筆者注:重要業績評価指標)は、会社の経営戦略・価値創造と結びついている指標であるかの観点が非常に重要。このため、会社が、どのような理由から当該指標を重視し、KPIとして設定したかを開示することは有用」と述べられています(注1)。
業績評価を実施する際の指標は非常に重要な役割をもっています。金融庁はその中でもとくに、長期インセンティブに関して触れているわけです。







