この業績指標の設定に関して、統合報告書の94ページでは「業績連動型賞与/株式報酬の連動指標として、成長投資や株主還元の原資でもあり株式市場の関心も高い連結純利益を採用し、万が一、連結純利益が赤字に陥る場合には、当該賞与・報酬が一切支給されない厳しい仕組みとして」いると記載されています。
つまり、連結純利益を原資にして投資や株主還元をするので、株主を意識すれば非常に重要な指標になるとみなしているわけです。
KPIの内訳を見れば
企業の中長期戦略が見えてくる
伊藤忠の戦略とはどのようなものなのでしょうか。統合報告書の中で、「『資本』の蓄積と『信頼・信用力』の強化による持続的な価値創造」と記載されており、図表1-4の内容が出てきます(22~23ページ)。
同書より転載 拡大画像表示
これをみてみると、「組織機能及びビジネスノウハウ」のKPIとして連結純利益が設定されています。加えて、ROE(自己資本利益率)も記載されています。
『評価と報酬の経営学 アイツの査定は高すぎる?』(濵村純平、光文社)
伊藤忠は企業全体としても連結純利益やROEを重要な指標に掲げているため、経営者報酬を決める指標として利用されていることがわかります。ここから、伊藤忠の連結純利益への強いこだわりをみてとることができるといえます。
さらに、伊藤忠の中期経営計画であるThe Brand New Dealをみると、「積重ねてきた先進的な取組により、外部からの高い評価を通じて「企業ブランド」を築き上げ、財務面の成長との相乗効果を生み、企業価値を向上」するとあります(注2)。
中期経営計画から、財務面の重要性や外部からの評価を気にしていることが読み取れ、これらをとおして企業価値に重要なインパクトのある連結純利益が選択されるのは、定性的な戦略を定量的な指標に落とし込んだ結果かもしれません。







