まだ4月の急落の余韻が残っている商品市場では、6月にも再び金、銅、原油など主な品目が下落した。6月の下落となると2012年と印象が重なる。

 しかし、12年は欧州債務危機による景気の下振れが大きな懸念材料であったが、13年は米国の量的緩和が出口に向かい縮小する可能性や、中国当局が金融引き締めを強化する公算が不安視された。

 具体的には米国では、景気回復がようやく本格化してきたことに対応して金融政策のかじ取りの変更を考え始めたこと、中国では、景気を再加速させるよりも投機過熱の抑制を優先させたことなど政策当局の意図が相場の材料となった。12年のような突発的な経済危機とは異なって、制御できない混乱に陥るリスクは小さく、相場に織り込みやすい材料といえる。

 実際、商品市場には、米中を中心とする世界経済の状況が色濃く反映されている。

 第1に、金相場は、米国の量的緩和からの出口論や、それに伴う金利上昇を織り込んでいる。金市況が下落圧力を受けるのは、金利が上昇している一方で、将来、それほどインフレ(通貨の下落)圧力が強まらないとみられているためだといえる。

 第2に、工業原材料となる金属の代表である銅は、世界需要の4割以上を占める中国の景気見通しの影響を受ける。中国経済は、2桁成長からの減速が明らかとなった後も、景気再加速への期待感が強かった。しかし、足元では、再加速が見られない中で、投機抑制などの目的から金融引き締めを強化する動きが見られ、景気下振れへの警戒感が生じた。このため、銅市況への下落圧力が強まった。