バロー尼崎潮江店 筆者撮影
第2に、ロスの徹底排除だ。鮮魚においては、バイヤー自らが産地や市場で直接仕入れる「目利き」の力が、売り切る力を担保する。その上でバローの寿司は、店舗ごとに「ネタの店内カット」を徹底している。これにより、その日の入荷状況や魚体のサイズに合わせ、サク(柵)の使い切りをグラム単位で調整できる。職人的な判断を介在させることで、廃棄を極限まで減らす「店内加工の柔軟性」を確保しているのだ。これが、前述した約37億円の原価改善を支える実弾となっている。
価格戦略も極めて緻密だ。バローは決して「EDLP(エブリデー・ロー・プライス)」のような安売り一辺倒ではない。尼崎潮江店ではボリュームゾーンの750円帯を厚くする一方、横浜店では3000円以上の高価格帯商品を並べ、首都圏の購買力を取り込んでいる。目玉の「サーモン鮨」などは、1パック798円(6貫)という「1000円を切る値頃感」を演出しつつ、店舗全体ではしっかりと粗利を稼ぐ姿勢を崩さない。
「坪効率833万円」が揺るがす関東の勢力図
バローが掲げる「1兆円企業」へのロードマップ。その鍵は「1店舗当たりの売上高拡大」にある。横浜下永谷店の目標年商は当初50億円とされるが、スーパー業界関係者の間では「50億円は通過点に過ぎない。驚異的な上振れをはじき出すだろう」とささやかれている。
もし600坪の標準的な店舗フォーマットで50億円を売り上げた場合、坪効率は年間約833万円に達する。関東の主要プレイヤーと比較すれば、際立つ数値である。たとえば、ヤオコーの標準店(450坪換算)の売上をベースに考えると、坪当たりは約620万円なので、バローはヤオコーの背中を捉えるどころか、一気に抜き去るほどの圧倒的な高効率である。
チラシに頼らず、「プール売り場(大量陳列)」によるライブ感と鮮度の力だけで顧客を吸い寄せる。この「目的来店」を誘発する装置こそが、バローが放った強力な競争装置したのだ。







