都内のマンションは手が届かない水準に
結婚・子育て世代は埼玉・千葉・神奈川へ

 振り返れば23年ごろから、都内のマンション売り出し価格と、成約価格の乖離幅は拡大している。今のところ、売り手と買い手の希望価格が収れんする兆しは見られない。そのため、都心地域の不動産価格は上昇し、多くの人の手が届かない水準になってしまった。

 その影響から、近隣地域の不動産需要は押し上げられ、価格に上昇圧力がかかっている。東京都と周辺地域の人口の増減を見ると、ある変化が明らかだ。

 総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、25年、東京都の転入超過数(転入者数マイナス転出者数)は6万5219人で全国最多だった。ただ、超過数自体は4年ぶりに縮小した。また、25年まで3年連続で、都の新設住宅着工戸数は減少した。

 世代別に見ると、都への転入最多は20~24歳だ。主な要因は、進学、就職だろう。続いて25~29歳の世代では、転入が鈍化する。異動による勤務地の変更、出身地への帰郷(Uターン)、他地域への移住(Iターン)などが影響しているのだろう。

 それが30~34歳になると、東京からの転出者が転入者を上回り始める。40歳以降も転出者が多く、高齢層にもこの傾向は当てはまる。つまり、都内の不動産価格の高騰は、主に投資需要で押し上げられる面が大きいと考えられる。

 その受け皿として、埼玉県、千葉県、神奈川県に転出する人は増えた。主な要因として、結婚や子育ての影響は大きい。手の届く価格で満足できる居住空間を手に入れようとする人は増え、近隣県への転出は伸びた。コロナ禍の前からこうした移動は発生していた。

 コロナ禍をきっかけに、在宅勤務は増えた。通勤の距離が多少遠くなっても、自然豊かで生活負担も抑えやすい場所に、住居を構えたい人はさらに増えた。千葉県流山市のように、自治体が鉄道、百貨店や不動産業者と連携して都市の開発を進め、人口が流入したケースもある。