不動産価格の上昇はいつまで続くのか
戦争で景気減速・物価上昇リスク要因増

 不動産価格の上昇はいつまで続くのか。今すぐではないにせよ、いずれ価格は調整局面を迎えることが想定される。日本銀行は、3月は利上げを見送ったが、4月はどうなるか。イラン戦争の影響による景気減速と物価上昇の同時進行など、下方リスク要因は増えている。

 海外では、米国・ユーロ圏の中央銀行が、利上げの必要性に言及し始めた。金利が本格的に上昇するようだと、プライベート・クレジットと呼ばれる、ノンバンクの融資債権の焦げ付きは増えるだろう。そうなると、融資債権を保有する投資ファンドは、デフォルト(債務不履行)の増加に直面することになるはずだ。

 そうした状況になれば、世界的に金融システムの不安定性は高まる。その場合、わが国の不動産価格は下落に転じることも考えられる。

 そうしたリスクへの備えは考えておいた方がいいだろう。経済の観点で考えると、不動産などの価格が下落した際、成長期待の高い産業がないと、わが国はかなり厳しい状況に追い込まれることが懸念される。

 若者が東京に集まるのは、成長期待が高いからだ。あるいは自治体が成長期待の高い企業を誘致できれば、産業集積の可能性は高まる。近隣の地域にも波及需要がもたらされるだろう。

 注目のひとつは半導体産業だ。北海道千歳市でラピダスは回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)のチップ量産化に取り組んでいる。また、熊本県菊陽町で台湾TSMCが回路線幅3ナノメートルの先端チップの生産を行う計画だ。成長期待から周辺の不動産価格は上昇している。

 中長期的にAI関連分野の成長期待は高い。そのために半導体の製造技術向上は欠かせない。半導体関連部材、製造装置の分野で、わが国には国際競争力の高い企業が多い。こうした企業の拠点を誘致することは、自治体が需要を創出し、地価下落など経済環境の変化への対応力を引き上げることにつながるはずだ。

真壁昭夫さんのプロフィール