それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術 #2Photo:Don Farrall/gettyimages

価格高騰が喧伝される新築マンションだが、中には同エリア内の中古坪単価相場とほとんど変わらない「お値打ち」価格で販売されている新築もある。特集『それでも買う!狂乱の市場に克つ! マンション 最強の売買&管理術』(全33回)の#2では、現在新築(未入居新古を含む)として販売中のマンション情報を、「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド提供のエリア中古相場、賃貸相場と徹底比較。「高値つかみせず住めて、賃貸運用しても利回りの良い」マンションを四つの指標から炙り出した。お値打ち新築はどこにある?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

高過ぎて買えない!?東京新築マンション
中には「掘り出し物」があるかも

 新築マンションの供給減少が止まらない。不動産経済研究所の調査によると、2024年の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)新築マンションの供給戸数は前年比14%減の2万3003戸となり、調査を始めた1973年以来、過去最少を記録した。

 2000年には9万戸の供給があった新築マンションだが、その後2008年のリーマンショックで大量供給の一端を担っていた新興マンションデベロッパーが壊滅。新築マンションを開発して販売できる企業が極端に減っていく。今は大手財閥系不動産会社や鉄道系デベロッパーなど、限られた一握りの企業が、限られた立地で新築マンションを供給するという構図になった。四半世紀でなんと75%も供給戸数が減少したことになる。

 供給戸数の減少に伴い、価格の高騰も止まらない。都内の有名物件やタワーマンションでは、そもそも競争倍率が激し過ぎて買えないものも増えている。事前に物件サイトから予約し、モデルルーム見学受付が開始された時間と同時に登録をしなければスタートラインにすら立てない。そして極端な高倍率になる販売抽選を勝ち残る必要がある。加えて、実際に居住用として買う実需層だけではなく、投資用として新築マンションを買う投資家や、外国人が新築マンション購入競争に参戦し、競争は過熱している。

 高嶺の花となりつつある新築マンション。だが、実は最近の供給状況を観察すると変化も出てきている。それは「人気エリアやブランド物件を少しだけ外したところに意外な『掘り出し物』が出てきている」ということだ。

 ダイヤモンド編集部では、SNSでインフルエンサーが話題にする人気物件でなくとも、どうしても新築マンションに住みたい、という人のために「高値つかみせずにかつ賃貸に回しても利回りの良い新築」という観点からランキングを作成した。

 3月中旬時点で不動産ポータルサイトなどで新築販売情報が価格とともに公開されていたマンションをピックアップ。マンション情報ポータル「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドの協力により、その新築マンションが立地している住所地番の中古マンション取引相場および賃料相場と突け合わせてランキングを作成した。

 ランキングの評価項目は四つ。まず、新築坪単価と中古エリアの相場を比較し、中古相場との乖離率を調べた。さらに、その新築物件を賃貸に回した場合の利回りを地域の賃貸相場から算出。そして、エリアでの坪単価と賃貸相場の騰落率を、19年のコロナ禍前と24年で比較した。それぞれの項目について、入手した新築物件のデータ125物件の中で案分で配点、「相場比割安で利回りが良いにもかかわらず、売買・賃料とも伸びているエリアにある物件」を60点満点で採点した(詳しいランキング作成方法は次ページを参照)。

 ここでは、あくまでも不動産デベロッパーの専用サイトでの会員登録などが必要ない、一般的な販売ポータルサイトで閲覧できる物件のみを取り上げた。また、現在では価格が変更となったり販売終了していたりする可能性もあるので注意してほしい。

 初回の今回は東京編。ランキング上位には荒川区、東京市部などの比較的小規模の物件がそろったが、中には江東区の1500戸超えの新古タワマンもランクインしている。さっそく詳しく見ていこう。