アンへドニアはうつ病の症状の1つでもあり、何をしても楽しくなくなる状態を指します。家で同じことばかりしていたらつまらないのは当然であり、自然な体の反応です。このつまらないという感覚は治療の動機づけにもなり、現状を変えることに役立ちます。
強迫症の方には治療のためにも、学校に行くことを勧めています。不登校の患者さんとその親御さんが来院し、「学校には行かなくてもよいのですが、自宅で楽に生活できるようにしてください」とおっしゃることがあります。しかし、自宅の安楽生活は強迫の格好のエサとなります。
もしストレスフリーな状態をつくろうとしたら、もともと備わっている脳の一部を取り除く必要があり、そのような治療では代償も大きいでしょう。
適度なストレスこそが
強迫症から抜け出す鍵となる
不登校が珍しくない昨今は、自宅でも勉強できると考えられていますが、学校でしかできない体験は勉強以外にたくさんあります。
AさんはADHDの同級生に対して嫌悪感を持っていました。児童期の強迫症の子どもが嫌がる対象は、見た目が汚い人や変わった人だけではありません。言っていることとやっていることにズレがある言行不一致な人も対象になります。
嫌いな人がいる学校から転校することで、いったんは落ち着けたとしても、新しい場所でまた別の嫌いな人ができるでしょう。それも避けて自宅にこもったなら、今度は新しい強迫の温床になります。
人に対する偏った見方、いわゆる偏見を防ぐ唯一の方法は、多様な人と共通の目標に向かって協力することであるという研究結果があります。学校生活では担任や隣り合わせる児童生徒を選ぶことができません。それは社会人になっても同じです。
たまたま一緒になった人と一緒に課題に取り組むことは、将来の生活の選択肢を広げることに役立ちます。
学校生活が治療になるもう1つの理由は、家での生活が主になると強迫行為をしやすい環境が徐々に整備されていくためです。







