3Q時点の国際航空貨物事業の実績は、ANAブランドでは貨物収入が1384億円で前年比3.4%の減少となったが、輸送重量は55万1000トンで3.5%増となった(国内は20万6000トン)。NCAの取扱量は21万7000トンとなっている。

 ANA Cargoの脇谷謙一社長は「需要動向が見通せない状況で、カリッタ航空のスペースを利用して北米向けの供給量を確保するといったチャレンジが奏功し、単価が落ちる中でも重量を稼ぐことで収入を確保した」と説明する。また、低需要期である4Q(26年1月~3月)については、収益拡大に向けてNCAと月次レベルでのフレイターネットワークの見直しを進めている。

図表:貨物事業における30年度までの目標数値ANAHD貨物事業における30年度までの目標数値
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26年度の貨物動向は?懸念は米国の関税政策
長距離路線が少し値上がりする可能性

 26年度の貨物動向の見通しとして、日本発の航空輸出貨物については月間7万トン前後で継続すると見通す。脇谷社長は「マーケットのトレンドに大きな変化は起こらない。単価についてもある程度の回復が見込める」と分析。

 アジア発では北米向けの半導体・電子部品で堅調な荷動きが続くと見込み、台湾発でAI関連の半導体やサーバーは高い需要の継続を見通し、物量増に期待する。東南アジア発でも、半導体や電子部品・製品が長期で安定した商材であるとした一方、縫製品などの消費財は米国でのサービス消費が鈍化傾向にあることから、物量増は期待できないという。

 中国発では、欧州向けが堅調に推移するとともに、北米向けでは米中関税の延期に伴い、航空貨物需要が拡大すると見通す。一時的に3割程度まで落ち込んでいたEC物量は、現状6~7割程度まで回復しているものの、仕向地は北米から欧州・中東・アフリカへシフトしているという。また、東南アジアで自動車部品や電化製品の製造が拡大していることから、同エリア向けの原材料・電子部品などのパーツの輸送増加を見通す。

 他方、自動車関連では世界的にEV需要が落ち込みを見せる中、北米市場を中心にハイブリッド車が底堅い荷動きを見せるとしたうえで、関連部品で輸送増の可能性があると予測。医薬品に関しては、日本向けの輸入の増加傾向が続くとしており、新薬・バイオ医薬品の需要増に加え、オンラインといった販売ルートの多様化により、個人でも購入しやすくなっていることが背景にあるとしている。

 今後の懸念材料として、米国の関税政策の動向が不透明であることから、需要動向の変化を引き続き注視していく。また、輸送力の供給増強については、世界的な貨物機の納入遅れや、老朽化した機体の退役が加速することから限定的であるとし、「新造機への入れ替えが進みにくいことで需要に対し供給が追いつかないだけでなく、現行機の維持には高い整備費がかかるため、長距離路線が少し値上がりする可能性がある」(脇谷社長)と指摘する。