世界トップクラス企業が誕生する
日本経済へのベネフィットは大きい
デンソーによるローム買収、あるいはロームと三菱電機、東芝の事業統合、どちらがわが国の産業や経済にメリットがあるか考えてみたい。まず、デンソーは自動車の電動化に対応するため、中国のチップメーカーとも協業している。一方のロームは、独自にデンソー以外、例えばボッシュなどと取引関係を築いてきた。
ロームがデンソーの傘下に入ると、ボッシュはライバル企業であるデンソー・グループからのチップ調達を減らす、あるいは止める恐れがある。また、ロームからのチップ調達で、デンソーの中国製パワー半導体調達に制約が出る恐れもある。デンソーのローム買収にはそうしたリスクもある。
一方、ロームと三菱電機、東芝がパワー半導体事業を統合すると、世界トップクラスのパワー半導体企業が誕生する。そのベネフィットは大きい。
事業規模の拡大は、ミクロレベルでの研究開発の積み増し、生産コスト低減に欠かせない。世界トップクラスの企業が発足することは、日本全体の競争力向上にも有効だ。関連業界全体で収益性が高まれば、日本経済にもポジティブな影響が見込める。また、中国勢への対抗にもつながる。
3社の事業統合後、さらに他の国内企業が参画する可能性もある。ルネサスエレクトロニクスは、どの企業が主導権を持つかはっきりした段階で、協業を検討する方針のようだ。
中長期的にAI関連分野の成長期待は高い。自動車の電動化も加速する。AIロボット、データセンター、新たな発電技術実用化などもパワー半導体への需要を押し上げる。
関係企業にとって、迅速な利害調整、統合交渉の進展は重要だ。統合後の事業運営体制を確立できるかが焦点となる。中長期的なわが国経済の復活に向けて、パワー半導体の事業統合案件が良いモデルケースになることを祈りたい。








