正規品の部品工場から
「横流し」させるケースも
スイスには通称「スイスネス法」と呼ばれる法規制があり、「スイス・メイド(スイス製)」を名乗る商品を販売するには、最終組み立てや検査がスイス国内で行われていることなどの条件が定められている。
だが、条件さえ満たしていれば、部品自体は中国を筆頭に、他国の工場で作られていてもよい。そのため、一部のブランドは他国の製造拠点や外部サプライヤーを利用している。
マフィアはそうした仕組みを悪用し、時計会社の監視が行き届かないスイス国外の製造拠点に働きかけ、正規の部品を入手しているのだ。
10年ほど前にベトナム・ホーチミンで大量に売られていた偽ロレックス Photo:UCG/Gettyimages 拡大画像表示
なお、ロレックスは主要な製造拠点が全てスイスにあり、他国の拠点から横流しさせる手口は使えないため、何らかの方法で中古品や修理用純正パーツを入手して悪用しているとみられる。
先ほど述べた、本物と偽物の部品を組み合わせた「ハイブリッド型」のコピー品は、このような経緯で造られる。
また、昨今は3Dスキャナーや3Dプリンターの進化と低価格化も著しく、これらの装置もスーパーコピーの作成に大きく貢献している。最新機器を使って本物の構造を解析し、部品のコピーを造って組み上げれば、本物とほぼ同じ時計を容易に製造できる。
「それほど似ているなら、偽物時計を実際に見てみたい」。ここまで読んだ読者の中には、そう思った方がいるかもしれない。
だが、絶対に興味本位で購入するべきではない。
確かに偽物時計は本物よりも格安であり、欲しいモデルが入荷するまで待たされることもない。スーパーコピーを売っているECサイトにアクセスして注文し、業者からのメールに書かれた銀行口座に代金を振り込むだけだ。中には代金引換で自宅まで“お届け”してくれる業者もある。
ただし「返品交換に応じます」などと書いている業者もあるものの、基本的にどんなトラブルが起きても保証はゼロである。たとえ一部の部品が同じでも、正規品のように厳格な品質管理のもとで製造されているわけではない。着用している最中にどんなトラブルが起こるかは未知数だ。
どんなに安くても、買ってすぐ壊れ、使い物にならなければお金のムダである。業者が返品交換に応じなければ、ただ泣き寝入りするしかない。







