悪質だと判断されたら
実刑が課される可能性も
しかも昔とは違って、日本における偽物時計の購入は、さまざまな法規制の対象となっている。「個人で使うためなら問題ない」という認識は通用しないのだ。
具体的には、2022年10月の法改正により、海外事業者から発送された模倣品は、たとえ個人使用目的であっても税関での差し止め・没収の対象となっている。
財務省の調べによると、2025年に税関で輸入を差し止められた「知的財産侵害物品」(偽ブランド品)は3万1760件であり、法改正から3年連続で3万件を超えた。時計に限らずアパレル用品なども含めたデータだが、多くの偽物が摘発されていることは確かだ。
差し止めの流れを具体的に説明すると、一般消費者が購入した偽物時計の多くは、海外から国際郵便で日本に届く。そして税関で検査を受ける。
この際に「模造品の疑いあり」と判定されると、税関から購入者に「知的財産を侵害している疑いがある」という通知(認定手続開始通知書)が書面で送られる。
税関による注意喚起 出典:税関公式サイト拡大画像表示
また税関は、権利を侵害された可能性のある時計ブランドにも、「模造品らしき時計が税関で発見された」という通知を送付する。
通知を受けた消費者と時計ブランドは、「その時計が本物かどうか」を争うことになる。
ブランド側は自社の販売記録や商品番号などをもとに、その時計が「本当に自社の製品かどうか」を判定。偽物であることが確定すれば、輸入差止めを請求できる。
消費者側が疑いを晴らすためには、10日以内に「正規の保証書や購入時の控え」など、本物である証拠を税関まで提出する必要がある。
それができなければ、偽物時計は没収される。当然だがこの時、購入代金が税関から返金されることはない。偽物時計を製造した犯罪組織や、売買を仲介した通販業者が儲けて終わりだ。
さらに、消費者が偽物の高級時計を購入し、譲渡・転売などによって市場に流通させた場合は、商標法や不正競争防止法違反として刑事事件に発展する可能性がある。内容によっては、10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金が科されることもある。
これほど重い刑罰が課される理由は、単に知的財産権を侵害しているだけでなく、先述の通り国際犯罪組織への資金提供につながっているからだ。







