流通・小売り フロントラインPhoto:JIJI

セブン&アイ・ホールディングスは、GMS(総合スーパー)のイトーヨーカ堂などのスーパーストア事業を切り離し、コンビニ専業企業へと生まれ変わった。しかし、2026年2月期の国内コンビニ事業は「増収減益」となった。この先、どのようにして加盟店の利益を押し上げ、国内コンビニ事業を上昇軌道に乗せるのか。商品改革に次ぐ打ち手は「ワンオペ」だという。連載『流通・小売り フロントライン』の本稿では、セブン&アイの戦略とそれに対する加盟店の声を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

国内コンビニは増収減益
加盟店利益は上向かず

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、GMS(総合スーパー)のイトーヨーカ堂や赤ちゃん本舗などのスーパーストア事業を束ねるヨーク・ホールディングスを、2025年9月に米投資ファンドのベインキャピタルへ売却。コンビニ専業会社へと生まれ変わった。そんな新生セブン&アイHDの門出となった26年2月期の本決算は、順風満帆とはいかなかった。

 26年2月期の連結業績は、営業収益が前期比12.9%減の10兆4302億円、営業利益が同0.5%増の4229億円。当期純利益は同69.2%増の2927億円だった。

 営業収益は大幅減少、純利益は過去最高となったが、これはスーパーストア事業の切り離しが大きく寄与した。固定資産の売却益などで272億円の特別利益が発生したほか、グループ構造改革の進展により、事業撤退費用などが大きく減少。特別損失は前期の2209億円から、857億円まで圧縮された。

 では、肝心のコンビニ事業の調子はどうだったのか。海外コンビニ事業は、営業収益は前期比6.7%減の8兆5568億円だったものの、販管費のコントロールなどが奏功し、営業利益は同2.8%増の2222億円と、増益を確保。ところが、国内コンビニ事業は厳しい結果となった。

 営業収益は前期比1.2%増の9145億円となったが、営業利益は同4.7%減の2225億円。原材料費の高騰による粗利率の低下やシステム投資、リブランディングのためのプロモーション費用がかさみ、販管費が247億円増加したことが営業利益を押し下げた。

 何よりの課題は、国内コンビニ事業において最も重要視すべき指標である、加盟店利益が伸びていないことだ。加盟店利益とは、店舗の売り上げから仕入れ原価を引いた粗利益から、さらに人件費やコンビニ本部へのロイヤルティーを差し引いたもので、加盟店オーナーの手元に残る利益のことだ。加盟店利益が改善していかなければ、加盟店が店舗に仕入れる商品の量は先細り、本部の業績も上向かない。25年上期の加盟店利益は前年同期比4.2%減、下期は0.7%減だった。

 この先も最低賃金の上昇により、人件費はさらに上昇していく。加えて今後、イラン情勢の悪化で電気代とガス代も上昇する。そんな厳しい環境で加盟店利益を上昇させる打ち手として、セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長が決算会見の場で示したのは「セルフレジの導入」と「ワンオペ」だった。

 実はセブン本部はこの春から、加盟店オーナーに対し、ワンオペをサポートする具体的な案を提示していた。だが加盟店オーナーからの反応は芳しくない。そもそもこの打ち手自体が、ローソンやファミリーマートとは明確に違い、加盟店オーナーに負担を強いる本部のスタンスを浮き彫りにするものでもあったからだ。

 次のページでは、セブン本部が加盟店オーナーに対して提示している案のほか、それが将来的に国内事業の成長において、裏目に出かねない理由を解説する。