ドンキ、オリンピックを買収!「驚安」の身売りを後押しした「長男vs次男」の後継者問題とは、名乗り出ていた大手の実名Photo by Nami Shitamoto

ディスカウントストアのドン・キホーテなどを展開する、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、中堅スーパーのオリンピックグループを買収する。なぜオリンピックは傘下入りを決めたのか。背景には、自社では片付け切れない業績低迷の要因と後継者問題で加速した“内部分裂”があるという。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

中堅スーパー、オリンピックが
ドンキの新形態「ロビン・フッド」に

 首都圏スーパーの争奪戦が、加速している。2026年4月6日、ディスカウントストアの「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、首都圏を中心に中堅スーパーのオリンピックを展開する、オリンピックグループを買収すると発表した。

 経営統合は5月28日に行われるオリンピックグループの株主総会を経て株式交換により行われる。オリンピックグループの1株当たり、PPIHの1.18株を割り当てる予定で、オリンピックグループは7月1日付でPPIHの完全子会社となる見込みだ。

 かねて、PPIHは生鮮食品を含めた食品の取り扱いを強化してきた。26年4月からは、新業態「ロビン・フッド」の出店を中京地区で開始。27年には首都圏へ進出し、35年までに200~300店体制に拡大する構想をぶち上げている。現在、オリンピックグループは首都圏に約120店舗を展開しており、それらの店舗の一部はロビン・フッドに転換する見通しだ。

 オリンピックは金澤富夫氏により、1962年に東京・立川で創業した。73年にオリンピックショッピングセンターを設立すると、翌年に共同仕入れ機構CGCジャパンに加盟。96年には東証2部に上場し、ホームセンター事業に進出、ペットやゴルフに特化した専門店にも業態を広げた。近年は高級食品スーパーの三浦屋のほか、複数の地場スーパーの取得を行い、首都圏に店舗網を持つ中堅スーパーの一角を成していた。

 21年2月期には、売上高に当たる営業収入は1077億円、営業利益は46億円と、スーパーマーケット各社の中では及第点といえる業績を上げていたものの、近年は低迷。25年2月期の営業収益は986億円で、営業利益は5100万円。純利益は6700万円の赤字だった。

 オリンピックに限らず、人件費や仕入れ値の高騰で、スーパーは利益を確保することが難しくなっている。そこでオリンピックは、PPIHのオリジナルブランドなどの商品力や効率的な店舗運営力により収益力と集客力を強化し、生き残る道に懸けたのだ。

 もっとも、事はそう単純ではない。グループの関係者によると、「今回の買収は、創業家の後継者問題が引き金になっているほか、内部では長年にわたって構造的な欠陥を抱えていた」というのだ。これまでユニーなど、大型のM&Aを行ってきたPPIHでも、オリンピック再生は一筋縄ではいかないかもしれない。

 次ページでは、オリンピックが抱えていた後継者問題に加え、PPIHとオリンピックによる公式発表では伏せられた、PPIHに僅差で敗れた別の買い手企業の実名のほか、まさに“驚安”ともいえるディールの全貌を詳報する。