喫茶店派は喫茶店でしかネタを作らない。家派は家か喫茶店でネタを作る。つまり、大半の芸人は喫茶店でネタを作っているのである。

 喫茶店でネタを作る主なメリットとしては、だいたいこの4つだ。

(1)金がない芸人が、500円で何時間も居られる
(2)たばこが吸える
(3)なにも思い浮かばないときに、ぼーっと外の景色を眺めたり、いったんテーブルを離れて散歩をしてからまた戻ったり、気分転換をしながらネタを作ることができる
(4)様々な客が多種多様な話をしているので、ネタのアイデアになる

ドトールのジャーマンドックと
ベローチェのハムサンドがイチオシ

 今では紙たばこが席で吸えなくなってしまったが、当時は吸えたので、コンビ揃って喫煙者の我々はドトールやベローチェを多用していた。私はドトールではジャーマンドックとアイスコーヒーを、ベローチェでは、ハムサンドとアイスコーヒーを、きまって注文していた。

 ドトールのジャーマンドックは、もちもちの香ばしいパンに、パリッとした食感の太いソーセージがはさまれているシンプルなホットドッグで、がぶりと一口ほおばると、もちっ、とパリッ、とに同時に口内を支配され、瞬時に脳が喜ぶ一品である。ソーセージの皮がやぶれた瞬間にジュワッと溢れでる肉汁もたまらない。口に入りきらなかった肉汁がパンにこぼれ落ちて染み込み、食い進めるほどにうまくなっていくという素敵な食べ物でもあるのだ。

 そしてベローチェのハムサンドは、ふわふわの真っ白なパンに、パツパツとした皮付きのしっとりとしたハムがこれでもかと何枚もはさまれており、アクセントにレタスもはさまれ、サンドイッチに歯を入れると、食感の層に歯が歓喜する一品である。歯の喜びを尻目に、甘いパンに、塩気あるハム、爽やかなレタスと、今度は舌が踊りだし、やがて脳が震える。歯→舌→脳とうまさのグラデーションを存分に味わえる虹のような食べ物なのだ。