救急隊到着
“初めて会う患者”として扱われる

 数分で救急隊が到着し、妻に質問した。

「ご主人に、脳梗塞以外の既往歴はありますか?」

「お薬は何を飲んでいますか?」

「前回の発症時の状況は?」

 妻は動揺しながらも懸命に答えるが、正確かどうかはわからない。東京の病院に連絡して、主治医から救急隊に話してもらえたらどんなにいいだろう。

 結局、救急隊は“初診の患者”として、つまり“この人の医療情報は何も知らない” という前提で状態を判断し始めた。

北海道の急性期病院へ搬送
情報ゼロからの診療

 病院に到着すると、今度は医師が妻に尋ねた。

「前回の脳梗塞の部位はどこですか?」

「どの血管が詰まったのかご存知ですか?」

「抗凝固薬は何を、いつ飲みましたか?」

「直近のMRIはありますか?」

「脳梗塞の部位? 脳のどこの血管が詰まったのか? そんなのわかるはずないじゃない!」妻は答えられない。手が震える。薬は、薬袋をそのまま救急隊員に渡した。

 東京の病院に電話したが、「医師が対応できるまで時間がかかります」と言われた。