医師は判断した。

「情報がないので、まずはCTとMRIを撮り直します」

 前回の画像があれば“再発かどうか”“どの血管が危険か”がすぐに分かる。しかし今はゼロから検査するしかないという。

検査の遅れ
tPA(血栓溶解薬)の投与判断が難航

 脳梗塞の治療は時間との戦いだ。

 tPA(血栓溶解薬)は発症から4.5時間以内が原則とされている。梗塞が起きると時間の経過とともにどんどん脳は壊死していく。4.5時間以内に治療をして血管が再開通すれば改善が見込めるが、それ以降になると脳出血など副作用のリスクのほうが高くなってしまうからだ。

 サトウさんの場合、服薬情報が不明、前回の梗塞部位が不明、直近の血液データも不明であったことから、医師は慎重にならざるを得ない。

「抗凝固薬を飲んでいる可能性があると、tPAは危険です」

 結局、tPA療法は見送られることになった。

東京の病院と
連絡がつくも、遅かった!

 数時間後、東京の病院から情報が届いた。

・前回の梗塞部位
・抗凝固薬の種類
・直近のMRI
・血液検査の傾向

「もし最初からこれらの情報があれば、もっと早く治療方針を決められたかもしれません」

 医師は残念そうに言った。すでに治療の最も重要な時間帯は過ぎていた。