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前々回記事はJR四国の鉄道事業が置かれた苦しい経営環境について、前回記事では持続的な経営を可能とする「稼ぐ力」の獲得と、その前提となる非鉄道事業の成長戦略を取り上げた。しかし、いくら非鉄道事業が成長しても、本業たる鉄道事業の出血が止まらなくては立ち行かなくなる。前回記事に引き続き、最終回となる今回は、決して黒字にはならないが、同社の経営自立のカギを握る鉄道事業の今後を考えたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
増加傾向が続く
四国と本州の交流人口
収支とは営業収益と営業費用の差である。収支改善には増収か費用削減、またはその両方が必要だが、JR四国の鉄道事業については、どちらも道のりは険しい。特に厳しいのは、全国に先駆けて人口減少が進む中で利用者を確保しなければならない収入面だ。
交通手段である鉄道は利用者がいて初めて成立する。そして、利用者の母数たる人口は2000年代以降減少局面に入り、2020年代以降は急激に加速している。しかし、増収努力は無意味ではない。減収幅を10億円から5億円に食い止めるのも「増収」のひとつの在り方だからだ。
取り組みを整理するために鉄道運輸収入を、人口(居住人口と交流人口)×鉄道利用率×利用頻度×単価に分解しよう。このうち居住人口の減少は不可避だが、観光やビジネスなどで一時的に地域を訪れる交流人口は別である。
四国と本州の交流人口は一貫して増加傾向にある。本州四国連絡高速道路(本四高速)の資料によれば、国鉄が民営化した1987年度は約3267万人だったが、瀬戸大橋が開通した1988年度は約4552万人、2019年度は約6110万人へ、35年で2倍近くに増加した。コロナ禍で大きく減少したが、2024年度は約6001万人にまで回復した。
本州四国間の交通機関別交流人口(本州四国連絡高速道路資料「本四架橋が果たしている役割」より抜粋) 拡大画像表示
四国4県の人口は約350万人、これに対して交流人口は1日あたり約16.4万人(約6001万人÷365日)なので、約5%を占める計算だ。彼らはいわゆる旅行者であり、食事、宿泊、中長距離移動を伴うため単価が高い。人口減少が比較的緩やかな首都圏から四国を訪れる人が増えれば、無視できない効果が期待できる。







