その結果、現場はより混乱し、暴力沙汰になり、発砲や死傷者まで出ていた。捜査官の脳がコヒーレンス状態にあれば、現場の状況をより適切に判断して、暴力へとエスカレートさせずに対応できる。
会話のうち、批判的な会話や破壊的な会話は、脅威として知覚される。
脅威は脳の化学反応を変える。脅威を感じると、身の安全に関わる脳の領域に、酸素と栄養が優先的に送られる。恐怖が強ければ、より多くの酸素が「闘争・逃走反応」を司る領域に送られ、前頭葉や新皮質への酸素供給は減少する。
逆に、心理的安全性や帰属感、つながりを強く感じている場合には、酸素と栄養素が脳と神経系の全域にうまく行き渡り、脳のパフォーマンスは上がる。
『チームは未来志向の対話でうまくいく』(ジャッキー・スタブロス、シェリ・トレス著、佐々木寛子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
「生成的な質問」(編集部注:既存の考え方にとらわれず、新たな見方や可能性を引き出す質問)と「ポジティブなフレーミング」(編集部注:望ましい結果に向けて、会話の焦点や流れを前向きに整えること)は、脳の化学反応にうまく作用して、脳の処理能力を最適化する。こうした脳の状態を保って仕事や日常生活に臨みたい。それは、人間関係や組織、コミュニティの種類を問わず、多くの人の望みであろう。
ハートマス研究所の調査によると、コヒーレンス状態を生み出すには、心から感謝した体験や無条件に愛された経験を想起するのが、最も効果的であるらしい。
ポジティブなフレーミングで会話を組み立て、相手に生成的な質問を投げかければ、会話の参加者全員をコヒーレンス状態へと誘えるということだ。
そのうえで、「ポジティブ性の原理」に従って、大胆に生成的な質問を投げかけることで、相手の脳にポジティブなイメージを喚起できる。
イメージに関する研究でも、価値ある会話の重要性は裏づけられている。







