広い視野を持ち
状況を読む力が重要

 コロナ禍で人員を絞った反動もあり、現在は採用の間口が広がっている。特にキャビンアテンダントや空港スタッフは不足感が強く、各社とも人材確保を急いでいる状況だ。背景には、長距離国際線の増加がある。ロシア上空を飛べない影響でヨーロッパ路線の飛行時間が長くなり、乗務員の配置や勤務体系も以前より複雑になっているためだ。

 ただ、航空会社が求めているのは単なる人数ではない。いま特に重視されているのが、国際感覚や変化への対応力だ。インバウンドの増加によって、多様な文化や価値観を持つ利用客への対応が必要になっているほか、航空業界そのものが国際情勢の影響を受けやすい産業だからである。

 たとえば、ロシア情勢による飛行ルート変更はヨーロッパ路線に大きな影響を与えている。また、アメリカの入国規制強化やESTA(電子渡航認証)申請料金の値上げなどは、日本人の海外旅行需要に影響を及ぼしかねない。逆に、円安はインバウンド増加という追い風にもなっている。

 このように、航空業界では政治や経済、社会情勢の変化がそのまま経営環境につながる。だからこそ、現場でも本社部門でも、広い視野を持ちながら状況の変化を読み取る力が重要になっている。

 さらに、航空会社には収益を追う企業としての側面だけでなく、社会インフラとしての役割もある。地方空港や離島路線では、採算性だけでは測れない価値がある。飛行機が飛ぶことで人やモノが行き来し、地域経済が成り立つケースも少なくない。実際、能登や離島のように、航空路線そのものが生活を支えている地域もある。利益と公共性、その両立を考えなければならない点も、この業界の特徴だ。

 航空業界は今後もしばらく、国際線やインバウンド需要を軸に成長を続けるとみられる。ただ、その一方で、国際情勢や社会の変化によって大きく影響を受ける不安定さも抱えている。

 だからこそ、これからの航空業界で活躍するには、変化を前向きに受け止め、柔軟に対応できることが大切になる。飛行機や旅行が好きという気持ちに加え、世界の動きに関心を持ち、広い視野で物事を考えられる人材が、これからますます求められていきそうだ。

(航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗氏への取材を基に編集チームが構成)

>>2大航空会社「採用大学」ランキング2025【全10位・完全版】を読む