実に、現実的な経営判断をしたと思う。北米は「HV主導」に大きくかじを切る。EV関連は短期にうみを出し切ることで、黒字転換を目指すというのだから。
だがしかし、この計画には大事な点が抜け落ちている。現在のホンダの経営は「二輪車事業の高収益」と「四輪車事業の低収益体質」のいわば両極化だが、そのいびつさからの脱却とはならない点だ。
ホンダは確かに変革を始動させた。が、二輪に「おんぶに抱っこ」から脱却するためには「二輪事業と四輪事業を分社化し、さらに四輪事業を日産自動車と統合する」といった、踏み込んだ企業変革を提言したい。
ホンダは好調の二輪と赤字の四輪を
分社化して日産と統合すべきか
どういうことか、26年3月期の業績をさらに詳しく見ていこう。二輪車事業の世界販売はアジアや南米を主戦場に、2210万1000台(前期比7.4%増)と過去最高を記録。営業利益率は18.2%と、この業界では驚異的といっても過言ではない収益性だ。
対して四輪車事業の世界販売は338万7000台(同8.9%減)で営業利益率はマイナス10%(なお前期は黒字で1.7%)に沈んだ。とにもかくにも二輪車事業と四輪車事業が極端なのである。
四輪車について市場別にブレイクダウンしていこう。まず北米だ。トヨタや日産に先行して、1982年に米国で現地生産を開始。かつて「ホンダは米国一本足打法だ」と揶揄(やゆ)されるほど、北米戦略には重きを置いていた。
しかし、1990年代後半に中国にも本格進出したことで、2000年代以降は北米と中国が二大柱に成長した。
ホンダで出世する人の特徴
昔は「オハイオ帰り」では今は?
「出世するのは、米オハイオ帰りや米国ホンダ帰り――」
ホンダ社内では、かつて社員の間でこうした言葉がささやかれていた時期があった。米オハイオというのは、米国オハイオ州にあるホンダの「生命線」とも言える最重要拠点だ。米国ホンダは現地法人を指す。
しかし近年は、「中国帰りが偉くなる」との見方が強まっていた。現に、前経営陣である八郷隆弘氏や倉石誠司氏は、中国に駐在経験がある。
では最近の中国における業績はどうかというと、販売台数を大幅に減らしピーク時の7割近くとなっている。北米のみならず中国でも立て直しが大きな課題なのだ。
しかし中国メーカーの開発、生産、技術力の進化は目覚ましく、ホンダを含めて日本勢は大きな脅威に感じている。手始めにホンダは、中国対策として開発期間・費用・工数を半減する「トリプルハーフ」戦略をぶち上げた。







