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ホンダは、日本国内のディーラー網の再編を進めている。だが、EV(電気自動車)で2.5兆円規模の損失を計上する裏で、ディーラーからは、国内販売網を統合し、販売会社の規模を拡大することのリスクを指摘する声が上がり始めている。EVを巡るホンダの迷走を見て、「今後もホンダの看板を背負っていて良いのか」と迷い始めた販売会社幹部もいる。長期連載『自動車 “最強産業”の死闘』内の特集『ホンダ危機』の#7では、国内ディーラー網に焦点を当て、ホンダの国内事業の課題を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
四輪事業の立て直しの鍵
日本市場のてこ入れに立ちはだかる問題とは?
ホンダは、新型EV(電気自動車)「ゼロシリーズ」を含む3車種の発売中止で、2.5兆円規模の損失を計上する。2040年までに全ての新車販売をEVと燃料電池車(FCV)とする「脱エンジン」目標も撤回した。
四輪事業が出直しを迫られる中で、今後の注力市場と位置付けるのは、米国、インド、そして「日本」の三つだ。中国の自動車メーカーによって中国と東南アジア市場でシェアを奪われる中で、注力3市場は、中国メーカーの攻勢を受けにくいという事情が背景にある。ホンダにとって、日本市場をてこ入れすることの重要性は極めて高いのだ。
しかし、ホンダと国内販売会社(ディーラー)の間には、「隙間風」が吹き始めている。
要因の一つが、商品力と商品ラインアップへの不満だ。あるホンダ社員が、「売れる車がない」と嘆くように、商品力の低下が顕著となっている(詳細は、『「売れる車がない」ホンダの四輪販売台数は6年間で32%減!商品力を低下させた四輪開発機能を本社から研究所に“出戻り”させる理由と、体制見直しの懸念とは?』を参照)。
商品ラインアップで言えば、利幅の薄い軽自動車や小型車の比率が高まっている。国内販売に占める軽自動車の比率は、10~11年は1~2割だったが、23~25年には4~5割にまで拡大した。ホンダの25年度の国内販売台数(軽自動車を含む)は58万台、そのうち主力軽自動車「N-BOX」は20万台で35%程度を占めた。あるホンダ系ディーラー首脳からは、「N-BOXがこけたら、どうするの?」と不安の声が上がる。
もう一つの火種は、ホンダが国内で進めるディーラー再編策だ。トヨタ自動車や日産自動車と比べて、ホンダのディーラーは、1拠点しか持たない小規模ディーラーが多いとされる。ホンダは、ディーラーの規模を拡大し、経営体力を強くするために、販売会社の再編・統合を進めてきた。
詳細は次ページで記すが、27年4月より「新マージン制度」を導入し、「年間販売台数3000台以上」の販売会社をマージン面で優遇する。3000台という基準を設け、ディーラーの統合・再編を促す意図がある。23年にこの新マージン制度が打ち出されて以降、M&Aによりディーラーの再編・統合が一定程度は進んできた。
しかし、EV巨額損失の裏で、ディーラー統合のリスクや懸念を指摘する声が一部から上がり始めた。販売会社には、「今後もホンダの看板を背負っていて良いのか悪いのか」と迷い始めた幹部もいる。いったい何が起きているのか。
次ページでは、複数のホンダ系ディーラー首脳などへの取材を基に、ディーラー統合のリスクを指摘する声が出始めている理由と、ホンダの国内事業の課題を明らかにする。







