「実務×コンサル」の
「いいとこ取り」のはずが…

 では、事業会社発コンサルの実力はどの程度なのか。

 正直に言おう。サービスの水準は玉石混交である。なぜなら、各社でコンサルティング経験や支援領域に大きな差があるからだ。

 その強みは明確だ。事業会社が本業で長年培ってきた「現場感覚」は、既存ファームのコンサルタントが、数カ月のプロジェクト期間中に身に着けられるものではない。

 製造業の品質改善、小売業の在庫最適化、IT企業のエンタープライズ営業——。こういった領域では、自社で何年もかけて試行錯誤してきた経験値が、そのままコンサルとしての武器になる。

 一方で、弱点もはっきりしている。

 コンサルティングとは、単に「自社でうまくいったことを伝える」サービスではない。

 クライアント企業の課題を構造的に分析し、仮説を立て、それを検証し、実行可能な提言に落とし込むという「思考の型」が求められる。

 この汎用的なスキルは、事業会社の現場経験だけでは身に付かない。

 専門的な教育を受け、専業コンサルタントとしての業務経験を重ねないと、多岐にわたる業種・業界のクライアント企業に対応できなくなる。

 仮に「自動車メーカー発のコンサルファーム」が立ち上がったとしよう。その会社が製造業において卓越した知見を持つのは当然だが、金融業・製薬業などのクライアントにも同水準のサービスを提供できるかというと、それはまた別の話だ。 

 大手ファームはこの「業界の幅」を多様な人材を採用することで補っているが、事業会社発コンサルの多くは まだ“幅”を持てていない印象である。

 この点について、もちろん汎用性のあるコンサルティングサービスを提供できる事業会社発コンサルも存在するだろう。

 だが、一歩間違えると、特定の業界しか支援できないコンサル会社や、自社の成功体験を横展開するだけの「中途半端なコンサル会社」になりかねない。

 あえて厳しい言い方をすると、「わが社はこうして成功した」という、一社限り(n=1)の成功体験を横展開しているだけなら、それはコンサルティングではなく「自慢話の有料化」に過ぎない。