日産エスピノーサCEOイヴァン・エスピノーサ氏は2003年にメキシコ日産自動車に入社し商品企画を担当した Photo by Yoichi Morohoshi

 最初にイヴァンは「将来は予測できない」と前置きし、「もし正確に予測できるのであれば、私は別の仕事に就いていますよ」とジョークを飛ばしつつ、不確実性の高い自動車産業の現実について語り始めました。

 印象的だったのは、当時の自身の立場について明確に線を引いていたことです。1年前の時点で、経営統合の交渉そのものには関与しておらず、商品企画の責任者として協業プロジェクトに携わる“実務側”にいた。ホンダ側と技術や商品に関する協議は行っていたが、統合交渉の詳細にはアクセスしていなかったとのこと。

 交渉決裂から数カ月を経て社長に就任した経緯からも、「特定の感情や評価を述べる立場にはない」と慎重な姿勢を崩しませんでした。

 もっとも、両社の関係が途絶えたわけではないことを確認できました。協業プロジェクトは継続しており、メンバーの変更はあるものの、検討は進められているそうです。

 続いて、ホンダ決算については「残念だというひとことに尽きる」との談。自動車メーカーはいずれも厳しい環境下で努力しており、日産も1年前は同様に非常に厳しい状況下で、その困難さは理解していると語りました。

 クルマの開発には長いリードタイムと巨額の投資が必要な一方で、政策や法規制はひんぱんに変化します。トランプ関税や電気自動車(EV)補助金に右往左往する今が、まさにそうです。こうした不確実性において最も重要なのが、「状況に応じて柔軟に修正できる体制だ」と指摘しました。

 そのうえで日産は、「お客様志向」と「スピード」を大切にするそうです。顧客ニーズを的確に捉えていれば大きな判断ミスは避けられるとし、規制や政策に変化があっても、最終的に選ばれるかどうかは「商品が提供する価値に懸かっている」と言い切ったのが印象的でした。

 この考え方は、開発プロセスにも直結するでしょう。日産は開発期間の短縮を進め、適切なタイミングで市場投入する体制を再構築しています。イヴァンは「復活に向けて最も重要なポイント」と位置づけていました。