最後に、「もし決裂せずに統合協議が進んでいたら……」の質問については、「統合するかどうかではなく、統合した後いかに協業していくかに主眼を置いていた」(イヴァン)と、若干はぐらかされたような回答でした。

 日産とホンダの経営統合が持ち上がったのは24年12月。交渉が決裂したのは25年2月。その直後となる25年3月期決算で、日産は最終損益6709億円の大赤字を出した一方、ホンダは(この時点では)同8358億円の黒字でした。これほどの大差では、統合はホンダ主導になるでしょうし、それを日産が受け入れ難いのも当然でしょう。

 ところが26年3月期決算では、ホンダが同4239億円の大赤字、日産も同5331億円の2期連続赤字でした。もし経営統合していたら、2社合計して1兆円近い“超赤字企業”になっていたのでしょうか?

 もしかしたら日産は、ホンダの状況を知っていたから経営統合を避けたのではないか――こんな裏読みをして筆者は今回の質問をしてみたわけです。

 さて、ラウンドテーブルでは過去の話ばかりではなく未来の話もたくさん聞けました。イヴァンが多く口にしたキーワードで筆者が気になったトップ3が、「AI」「自動運転」「スポーツカー」です。

日産エスピノーサCEOエスピノーサ氏はメキシコ日産、タイ日産、日産インターナショナルなどを経て2016年に日産自動車に移籍。2025年よりCEOを務める Photo by Yoichi Morohoshi

 イヴァンはクルマ好き、ドライブ好きを公言しており、自身の経験から休日のゴルフ帰りに巻き込まれる渋滞を例に、「この時間が自動運転になればメキシコに住む母親とビデオ通話ができるし、エンターテイメントを楽しむこともできる。渋滞が好きという人はいないでしょう。でも渋滞の時間を有効に使えれば効率がグッと高まるのです」と、声のトーンを上げて語っていました。

 クルマの開発でAIや自動運転を重視するのは、タイムパフォーマンスを重視する考えが根底にあるようです。ただし、全てを自動運転化するのではなく、運転したくない時だけ自動運転にする、まさにクルマ好き的な発想をイヴァンは補足していました。

Next_Generation_ProPILOT_Tokyo_01自動運転の実用化に向けて公道試験が続けられている Photo:NISSAN

 他にも、例えば車内で各種操作を行うとき手入力ではなく音声入力にするには、AIの性能をもっと高めなければいけない。その技術においては、中国が非常に進んでいると断言しました。また、機械が起こすミスは人が犯すミスよりも少なく、自動運転は安全のための技術であることも付け加えました。

 最後に、ファンなら聞き逃してはならないスポーツカー戦略について。「GT-Rの新型は開発中であり、準備が整い次第発表する」とイヴァンは強調しました。