サンプルとしたスーパーエイジャーのなかには、高齢になっても語学学習をしたり、キリマンジャロの登頂を目指したりする人たちがいました。スーパーエイジャーたちは日常的に難易度の高い活動を行っており、こうした高度な活動が脳を成長させていると考えられています。
60代、70代になっても「ちょっと難しいチャレンジをする」ことで、脳を成長させ、20代のような機能を維持することができる。スーパーエイジャーたちの挑戦は、すべての人への示唆にあふれています。
脳トレは認知症の改善に
驚くべき効果
ではわれわれが日々実践できる、「脳を活性化する知的活動」とはどのようなものでしょう?
そのひとつの例として、「脳トレ」が挙げられます。
私と私の研究チームが開発した「脳トレ」は、まさに脳を活性化する知的活動です。
「読み(音読)」と「書き」「単純な計算」を利用した脳の活性法で、子どもたちの脳を鍛えるための方法を考えるなかで見つけたものでした。「脳トレ」では、「読み」「書き」「計算」をできるだけ速いスピードで、かつ定期的、継続的に行うことを提案しています。
このトレーニングを「学習療法」として認知症治療の現場で取り入れてみました。
私たちが開発した教材を、認知症の患者さんに支援者とコミュニケーションをとりながら継続的に行ってもらったのです。すると、多くの方に驚くべき変化が起こりました(Kawashimaら Journals of Gerontology: Medical Sciences 2005)。
例えば比較的軽度なアルツハイマー型認知症と診断された98歳の女性の場合、自分自身の過去の記憶をほとんど思い出すことができませんでしたが、学習療法を1年間行ったところ、再び過去の記憶を呼び起こせるようになったのです。
それだけでなく、子どもの頃には家庭の事情で満足に勉強ができなかったことを思い出し、学習に非常に意欲的に取り組まれるようになりました。
そして99歳の誕生日に「英語の勉強をしてみたい」と、自ら英語の学習をするようになられたのです。その結果、100歳では100以上の英単語を覚え、英語で簡単な挨拶もできるようになりました。
小指の先しか動かせない人にも
目覚ましい効果
学習療法は寝たきりで小指の先しか動かせない方にも目覚ましい効果が見られました。この方は読み聞かせからスタートしてひらがなを教えるといった学習を、3年間かけてじっくり行いましたから、ご本人はもちろん、スタッフのサポートや努力も並大抵のものではありませんでした。







