このとき、そのまま書き写すのではなく、脳がより活性化するようにちょっとした仕掛けをします。まずはひらがなで写してください。読めない漢字は、あらかじめ辞書(できれば漢和辞典)で調べてふりがなをふっておくと、筆写を中断することなく進めることができます。
次に、ひらがなで書いたものだけを見て、今度は別の用紙に漢字に直しながら書き写していきます。ひらがなを漢字に直すのは、漢字の書き取りと同様の効果があって、脳は非常に活性化します。漢字に直す過程で書けない字があれば、元の新聞記事を見ても構いません。
書写は音読や計算のようにスピードを意識しなくても前頭前野は活性化しますが、より脳トレ効果を高めるためには、字が汚くてもいいので速く書くことが肝心です。
一度目は、とにかく速く書く。その次に、字のはね、止め、はらいなどに注意して楽しんで書くようにするとよいでしょう。
「計算」を使った脳のトレーニングとしては、新聞ではなく、例えば、トランプを使った遊びをしてみてください。トランプのカードをきった後に、3枚を選び、数字を暗算で足し算します。
このときにも、できるだけ速く計算することでのみ、脳トレ効果があることを忘れないでください。誰かと一緒に競って計算をすると、楽しく、かつ自然に速く解くことができます。3枚に慣れたら、4枚、5枚と足し算をするカードの数を増やしてみてください。
60代以降は習慣次第で
大きく差が開く
人間の知能には新しいことを学習し、記憶するための「流動性知能」と、長年の経験、教育や学習から蓄積されていく「結晶性知能」があります。
結晶性知能は知識や経験を蓄積することで高まるという性質があります。知識や経験を積むことでより高次な能力を発揮し、判断がつくようになるのです。
『脳を鍛える!人生は65歳からが面白い』(川島隆太、扶桑社)
流動性知能は20代以降、加齢とともに徐々に低下していくのに対し、結晶性知能のピークは60代。その後は80代でも20代のレベルを維持することがわかっています。まさに、亀の甲より年の功、長年の経験が貴重であることが科学的に証明されています。
頭のキレがいい若者より、情報処理スピードが衰えても社会経験豊富な中高年のほうがマネジメントに秀でていることが多いのは、蓄積した情報を別の事例に当てはめて考え、過去に経験した対処法を応用し取り入れるなど、高次に判断できるからです。
結晶性知能のネットワークは、加齢とともに増殖し、連動して効率よく働きます。読み、書き、計算などで情報処理のスピードや記憶力を維持しながら、さまざまな経験を積んで結晶性知能を高めるように心がけると、脳の第2のピークがよりハイレベルになるでしょう。
60代以降の習慣次第で脳の機能には大きな差が生まれます。
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