努力の甲斐があり、次第に文章が認識できるようになり、車椅子での活動が可能となりました。その後、歩行訓練を続け、お正月には施設から自宅に帰ることもできるようになったのです。
このように、学習療法で脳を鍛えると、認知機能はもちろん、身体の運動機能も回復できるのです。読み、書き、計算を使った学習療法で、薬で治療できなかった認知症が改善できるというのは、私たち研究者にとっても大きな発見でした。
認知症患者に学習療法を取り入れて症状が軽快した例は多く、海外でも効果が見られることから、使う言語や人種にかかわらず有効だとわかりました。
学習療法の目的は、なんらかの行為をできるだけ速く行うことで脳に軽い負荷を与えることにあります。誰もが取り入れやすく、すぐにできて負荷をかけやすい手段として、読み、書き、計算を使いましたが、教材はなんでもいいわけではなく、負荷に適した問題のレベルや量、スピードがあります。私たちは実際にfMRI画像解析などで脳の状態を見て、前頭前野が活性化しているかを確認しながら作問しました。
脳を活性化させる
「音読」のコツ
日常のなかで手軽に取り入れられる方法として、新聞を使った音読もおすすめです。
読売新聞の「編集手帳」、朝日新聞の「天声人語」、毎日新聞の「余録」、日本経済新聞の「春秋」など、一面の下にあるコラムは音読しやすい長さです。2分ほどで読めますから、続けやすいのです。
〈脳トレ目的で新聞を読むときの注意〉
・できるだけ速く読む
・感情を込めず、機械的に読む
・意味は捉えなくていい
・読めない漢字は読み飛ばしてもいい
・記録をつけて習慣化する
脳の処理速度を速くするためのトレーニングですので、可能な限り速く音読するように心がけてください。fMRI画像の解析結果などから、音読する速度が速ければ速いほど前頭前野が活性化することがわかっています。
速さを意識すると、読み飛ばす、読めない漢字があってつかえてしまうといったことがあるかもしれませんが、できるだけ速く読むようにがんばってみましょう。速く読もうとするあまりに、発声がいい加減になってしまうかもしれませんが、はっきりと声を出しましょう。







