黒田東彦が解説する「日米英の大学比較」、実際に体験した名門6大学の違いとは?Photo:PIXTA

4月の新年度から新たな大学生活を始める学生も多いだろう。大学選びは人生を大きく左右する。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「日米英の大学比較」。黒田氏が実際に体験した日米英の名門6大学の違いとは?

明治時代から指摘された名門大学の差
官僚を生む東大と学者を生む京大

 小学校による初等教育、中学・高校による中等教育、大学・大学院による高等教育での学びを有意義なものにするため、それぞれの役割や違いについて前回の寄稿で解説した(参照『黒田東彦が振り返る「初等・中等・高等教育」、小学校から大学院までそれぞれの段階で伸びるために重要な要素とは?』)。

 今回は高等教育に焦点を当て、日米英における名門大学同士を比較してみたい。なお、いずれも私が通ったり、講義したりした大学である。

 私の母校である東京大学は、明治政府によって1877年に日本初の官立大学として設立された。その後、東京帝国大学などと名称が変わったものの、戦後、元の東京大学に戻っており、常に日本最大の国立大学であった。

 現在は法学部や医学部など10学部、法学研究科や医学研究科など15の大学院を備え、学生数は約2万9000人に及んでいる(2025年5月現在)。なお、英教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションの「THE 日本大学ランキング」(25年版)によれば、東京大学は東北大学や東京工業大学(現東京科学大学)に次ぐ第3位とされている。また、理系のノーベル賞を受賞した出身者は6人である。

 京都大学は1897年、関西で東京帝国大学に対抗する京都帝国大学として設立され、戦後、京都大学となった。

 現在は法学部や医学部など10学部、法学研究科や医学研究科など18研究科を備え、学生数は約2万2000人だ(25年)。前出の日本大学ランキングでは、東京大学に次ぐ第4位である。また、出身者の理系のノーベル賞受賞者は10人と国内最多で、25年も坂口志文氏が生理学・医学賞を、北川進氏が化学賞を受賞している。

 明治時代、ジャーナリストの斬馬剣禅は著書『東西両京の大学』で東京大学と京都大学を比較し、前者の学生は多くの必修科目の試験によって勉強を強いられているのに対し、後者の学生は自由な学内で選択科目によって自主的に勉強していると論じている。

 要するに、東京大学は型にはめた官僚や実業家を生み出しているのに対し、京都大学は学者や革新的技術者を生み出しているというわけである。