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入学式シーズンである。大学・大学院では最先端の理論に触れることが有意義な学びとなる。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「私が学んだ経済学者」。黒田氏が薫陶を受けた経済学者たちの教えとは?
通産省・大蔵省の政策を徹底批判
東大で学んだ経済学者たちの思い出
日米英の名門大学の違いを前回の寄稿で解説した(『黒田東彦が解説する「日米英の大学比較」、実際に体験した名門6大学の違いとは?』参照)。大学・大学院では、各分野の最先端の理論に触れることが有意義な学びとなる。
将来役に立つかは分からず、また十分に立証されていないため学者を信頼するしかない部分はあるものの、その時点で知り得ることは何かを理解する上でも意味がある。
私はこれまでの活動の中で、さまざまな経済学者に学ばせてもらった。その幾人かは帰らぬ人になっているが、それらの人を含めて、私が学んだ経済学者について、語ることにしたい。なお肩書きは私が学んだ当時のもので、氏名の後の括弧内は生没年である。
私が東京大学法学部の学生だった頃(1965~67年)、館龍一郎教授(1921~2012年)の金融論の講義を聴講し、古典派とケインズ派のマクロ経済理論を丁寧に教えてもらった。
館教授との交流はその後も続いた。大蔵省(現財務省)の主税局調査課で課長補佐をしていた際に(1978~80年)、法人税の基本的仕組みの調査のため欧州を訪問する館教授に同行する機会があった。
当時議論されていた法人税改革に関連し、配当金への二重課税問題について、館教授は「インピュテーション方式(法人税負担分を個人所得税の前取りとして、個人所得税を減額する仕組み)」が理論的に好ましいとしつつ、当面、法人税の配当軽課と個人所得税の配当控除の組み合わせを容認するという意見であり、現実的な考え方に引かれた。
他にも東大で刺激を受けたのは小宮隆太郎助教授(1928~2022年)の講義だった。近代経済学の理論に沿って、通商産業省(現経済産業省)の産業政策や大蔵省の財政金融政策を徹底的に批判する内容で、痛快であった。







