トランプ人脈6月17日、フランスのマクロン大統領(右)にベルサイユ宮殿を案内されるトランプ米大統領。トランプ氏はベルサイユ宮殿で、イランとの戦闘終結の覚書に署名した Photo:Anna Moneymaker/gettyimages

米国とイランが戦闘終結などについて合意した。イラン空爆から始まった一連のトランプ政権の行動は「予測困難だ」という声も多いが、実はイラン空爆を示唆した人物がいた。特集『トランプ人脈 全解剖』の本稿では、米政治のキーパーソンの言動から、軍事行動を予測する手法を掘り下げる。(共同ピーアール総合研究所主任研究員 渡辺克也)

イラン空爆は予測できたか?
大統領だけでなく、議員にも要注目

 米国とイランは6月15日、戦闘終結などに関する覚書に合意したと発表した。

 G7(先進7カ国)サミットのためにフランスを訪れていたドナルド・トランプ米大統領は17日、晩さん会が開かれたベルサイユ宮殿で覚書に署名。イランの国営メディアも、マスウード・ペゼシュキアン大統領が覚書に署名したと報じた。

 米国とイスラエルが2月28日にイランを空爆してから3カ月余り。イラン情勢は節目を迎え、事態が収束に向かうことが期待されている。

 一連のトランプ氏の行動について、「予測不可能だ」とする言説が多い。だが実は、トランプ政権が決断した空爆を、前もって示唆していた人物がいた。

 共和党のテッド・クルーズ上院議員である。空爆4日前の2月24日、「米軍はイランに対して数日のうちに、限定的な攻撃を実施する可能性が高い」と発言していた。

 後から振り返って、あの時のあの発言が、とつじつま合わせをすることは簡単かもしれない。しかし一方で、トランプ政権は、大統領の発言を筆頭に「全くもって予測不可能だ」という見方もまた誤りである。米国の大統領は強大な権限を持つものの、トランプ氏独りで全てを動かすことはできないからだ。

 軍事・安全保障領域は特に機密性の高い分野だ。民間の立場では、基本的には公開情報から分析することになるが、トランプ政権や米政治の権力構造や意思決定ルールとキーパーソンをしっかりと押さえておけば、トランプ政権の行動を“予測”するヒントをつかむことはできる。

 次ページではクルーズ氏のほか、イラン情勢を巡って重要発言をしたキーパーソンたちやトランプ政権の権力構造、米国の軍事行動の読み解き方を掘り下げる。