ホルムズ海峡封鎖が簡単に終わらない地政学的理由、イランの「非対称戦」とイスラエルの「執念」中東地域の安全保障および米イスラエル間の協力関係について協議するため、二国間会談を行ったトランプ大統領とネタニヤフ首相=2025年12月29日、フロリダ州パームビーチ Photo:Joe Raedle/gettyimages

米国・イラン和平交渉スタート
“米国撤退”でも戦闘は続く可能性

 米国とイスラエルが2月28日に始めたイラン攻撃は、さまざまな観点で世界を驚かせ、また、その紛争が長期化することで、世界は苦悶している。

 これまで、国際法に基づき、航海の自由が守られることを前提に、グローバルなサプライチェーンを築いてきた企業や、それを前提に国家戦略を立ててきた国々は、力の論理によるあからさまな武力の行使と、それへの対抗として、イランが地政学・地経学的チョークポイントであるホルムズ海峡を封鎖するという、全く新しい状況に直面することになった。

 米国とイランは、「2週間の暫定停戦」で合意、11日から和平交渉が始まったが、イランの核開発につながるウラン濃縮や攻撃被害の賠償、ホルムズ海峡の自由航行と管理を巡る問題では、双方の主張に大きな隔たりがあるのが現状だ。和平交渉は中断となり、再開をめぐり水面下での綱引きが行われている。

 米トランプ政権には、支持率低下が進む中、11月の中間選挙を控えて、それなりの成果を強調、早期の撤退を図ろうという思惑が見える。

 だが、冷静に見るべきは、この戦争はそう簡単に終わらない地政学・地経学的要因があることだ。

 軍事力で米国やイスラエルに劣るイランは、原油などエネルギー輸送の要路のホルムズ海峡を事実上、封鎖し世界経済を人質に取る「非対称戦」に活路を求めている。

 イスラエルも、長年、敵対関係にあるイランの脅威除去への「執念」は強く、米国を巻き込みその実現を図る戦略だ。

 イスラエルが執念を燃やし、イランが抵抗する限り、米国が撤退したところで、戦争が終わることはなく、ホルムズ海峡が開放されることはない。

 和平実現には、大きな課題が残っている。