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イラン攻撃2カ月、和平交渉は難航
トランプ政権、誤算続きで長期化
米国とイスラエルが2月28日、イランへの軍事攻撃に踏み切ってから約2カ月がたつ。イラン側も湾岸周辺国の米軍基地などを反撃、さらにホルムズ海峡を封鎖したことで原油価格は高騰、世界を巻き込む事態となった。
4月7日には「2週間の暫定停戦」が合意され、米国とイランの和平交渉が11日から始まったが、イランのウラン濃縮・核開発問題やホルムズ海峡の航行回復などを巡って、双方の主張には大きな隔たりがあり、交渉は中断されたままだ。トランプ大統領は21日、自身のSNSで「停戦延長」を表明したが、イラン側の公式な反応ななく、和平交渉の行方は見えない。
WTI原油先物価格は、3月8日には一時、1バレル119ドルを付けた後、戦闘の情勢やその時々のトランプ大統領の発言によって乱高下、和平交渉中断の後は再び100ドルを超えるなど不安定な状況が続いている。
中東原油の供給不足は、他地域産の原油への需要急増につながり、当社では、最悪のケースとしてWTI原油先物価格が1バレル150ドルまで上昇する恐れがあるとみている。その場合、世界経済が景気後退に陥るリスクは非常に高まる。まさに「21世紀のオイルショック」に警戒が必要な状況といえるだろう。
こうした状況はトランプ政権にとってなんとしても回避したいはずだ。米国は原油を中東に依存していないとはいえ、国内ではガソリン価格が高騰、インフレ再燃が懸念される一方で、世界経済の減速は米景気も下押しする。
そもそも米国第一のドンロー主義外交を掲げるトランプ大統領にとって、中東への関与は想定されたものではなく、またホルムズ海峡を「人質」にとるようなイランの「非対称戦」も、誤算だった。11月の中間選挙を控え、支持率が低下する中でトランプ大統領の本音は早期撤退だろう。
だが和平交渉が今後、どういう展開になるかは見通せない。トランプ大統領に焦りがみえる中、米国が一方的に「勝利宣言」をして幕を引くという可能性もあるが、イランがそれで矛を収めるかどうか。再攻撃されないことやウラン濃縮の権利保証などを求めて報復を続ける可能性もある。
また、終戦になったとしても、破壊された産油・運搬施設の復旧には一定の時間がかかるため、早急に原油供給が正常に戻るかどうかは容易に見通せない。
今回、イランはドローンを使えば簡単に海峡を封鎖でき、その結果、自国にとって有利な外国交渉ができるということを世界中に示したわけであり、交通の要衝で周辺国家による同様の事態が起きるリスクは残る。
中東ではさまざまな国家や武装組織の間で対立がくすぶっており、表向き停戦となっても局地的な軍事衝突が起きるなど、中東の不安定が長期化するときのことを考えておく必要がある。







