あくまで私見ではあるが、まともな財務見識があれば、絶対に頼ってはいけない証券会社が取りしきる増資である。実際ゴールドマン・サックス証券は、アクティビスト(物言う株主)に大量に割り当て、その結果アクティビストが取締役として乗り込んでくることになったのである。
アクティビストとは、株主としての権利を積極的に行使して経営改善や株主還元策などを求めて利益を得ようとする投資家のことをいう。このアクティビストは日本的な長期の利益確保にはあまり関心はなく、その関心は短期利益のみである。同時に株主以外のステークホールダーのことを考えることはなく、別名「ハゲタカファンド」とも言われている。このアクティビストを何と取締役として取締役会のメンバーにしたのである。
アクティビストの要求で、NANDメモリーの売却益を計上すると多額の配当金を支払うことになった。さらに短期利益を計上するためメディカル事業、NANDメモリーに続き、次々と事業売却を検討し始めた。
白物家電事業を中国家電大手に売却、テレビ等映像機器事業を中国ハイセンスに売却、空調事業の国内子会社東芝キヤリアをキヤリア社子会社に売却した。また、昇降機事業、照明事業の売却も発表した。まさに東芝解体の一歩手前まで突き進んでいった。
安易な増資を行えば、このような要求を拒めなくなることは財務的に常識である。何故、綱川社長や平田政善代表執行役専務CFOは、地道で堅実な経営再建を目指すことなく、このような安易な経営を行ったのだろうか、大いなる疑問である。
そして2021年4月に辞任した車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)が仕組んだと言われるCVCキャピタルによる買収提案=ファンドによる子会社化でアクティビストとの対立の解決法を見出す。ようやく東芝はアクティビストの退出を真剣に検討し始めることになった。
これが2023年12月20日上場廃止と日本産業パートナーズ(JIP)による子会社化につながってゆく。結局、室町正志氏と綱川智氏による安易な経営が、東芝を市場から退出させ、自立した東芝が音を立てて転落してゆくことになった。
2003年11月 PC事業の「東芝本体からの切り出し=子会社化」提案の失敗
2003年11月12日、私はパソコン事業について、岡村正社長に一つの提案を行った。







