総予測2026Photo:PIXTA

半導体工場やデータセンター需要を背景に好業績が続くゼネコン業界。2025年は東洋建設や三井住友建設が買収されるなど、業界再編が加速した1年となった。特集『総予測2026』の本稿では、再編機運が高まっている背景と、ゼネコン買収を目論む異業種プレイヤーについて解明する。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

半導体工場やデータセンター需要で好調も
再編機運高まるゼネコン業界

「洋上風力や海外事業など五つの領域でシナジー効果を発揮できると判断した」――。

 2025年8月に開かれた記者会見で、大成建設の田中茂義会長は東洋建設を買収した理由についてこう語った。

 東洋建設は港湾工事に強みを持つ海洋土木(マリンコントラクター)の大手として知られている。当時は、任天堂の創業家が資金を拠出する投資ファンドが株式を買い集めており、再編機運が高まっていた。

 25年はインフロニア・ホールディングス(HD)も準大手の三井住友建設を買収しており、業界が再編に動く一年となった。再編機運が高まる背景には、建設の請負事業だけでは生き残れないという危機感がある。

 23年ごろは物価上昇に伴う建設費用の高騰で、大手ゼネコン各社は不採算事業を抱え込んでいた。その後、赤字案件の竣工や価格転嫁が進み、単体での建築完成工事総利益率は大幅に改善。近年では首都圏の再開発事業に加えて、半導体工場やデータセンターの建設ラッシュも続いており、建設需要は旺盛だ。

 大和証券の寺岡秀明チーフアナリストは「アベノミクスを契機に民間設備投資が活発化した17年度に迫る水準まで利益率が改善しつつある。業績も当面は堅調に推移する」との見方を示す。

 ただ、業界は先行きの不透明感が増している。建設費の高騰が続くことによる発注控えが膨らまないか、価格転嫁を徹底できるのかなど、不安は尽きない。足元こそ半導体工場やデータセンター需要に沸いているが、建築着工面積は減少しているという事実もある。

 そんな時代を生き抜くための再編であるが、ゼネコン内だけで進むものにはならないだろう。

冒頭に紹介した東洋建設の買収時にも、異業種の企業が関心を寄せていた。次ページでは、具体的な企業名とゼネコン各社が目指すビジネスモデルについて明らかにする。