G7のワーキングランチに出席した左からOpenAIのサム・アルトマン氏、トランプ米大統領、DeepMindのCEOデミス・ハサビス氏(6月17日、フランス・エビアンで) Photo:Anna Moneymaker gettyimages
国によるAI株保有論が急浮上
国民に株式配当、成長の恩恵を分配!?
AI(人工知能)の普及が人々の生活やビジネスモデルを変えるだけでなく、強力なAIの開発が国の安全保障などにも大きな影響を及ぼすようになるなかで、AIを取り巻く問題や関連する企業の存在感は、政治の世界でも日増しに高まっている。
それを象徴したのが、6月15日からフランスのエビアンで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)だった。OpenAIやアンソロピックの首脳陣が昼食会に招かれ、日本からもサカナAIのトップが参加した。AI企業が先進国の首脳と肩を並べる存在感をもつ時代の到来を示す出来事だった。
こうしたなかで米国では、政府によるAI企業の株式保有が議論され始めている。6月4日に米オンラインメディアのNOTUSは、OpenAIがトランプ政権にAI企業の株式を一部保有するよう持ち掛けていると報じた。
NOTUSによれば、同社最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏は、昨年の早い段階でトランプ大統領に構想を伝えていたという。
同社と政権のあいだでは、政府が「国富ファンド」を設け、そこに大手AI企業が株式を寄付する案が検討されているもようだ。国によるファンドを通じて国民がAI企業の株式を保有し、その配当や値上がり益を通じて、企業が生み出す利益を分け合おうというものだ。
その後も、断続的にやり取りが行われ、報道の前日には、アルトマン氏がワシントンでトランプ政権の高官や有力議員と面会している。そこでも、政府による株式の保有が話し合われたと報じられている。
6月5日にはトランプ氏が、記者団の質問に答え、株式保有が実現すれは「素晴らしいことだ」として、主要なAI企業の首脳と会談を行う意向を明らかにした。
国富ファンドによるAI株の保有構想には、党派を超えた広がりがある。その背景には、AIの急速な発展に対する世論の不安や、AI企業への警戒感の高まりに、先手を打つ狙いがある。
AIによってほとんどの雇用が置き換えられてしまう「雇用のない世界」の予感が、新たな政策論争を巻き起こしている。







