ニューヨークのマムダニ市長ら民主党の左派が唱える「下水道社会主義」。ここにきてなぜ“復活”することになったのかニューヨークのマムダニ市長ら民主党の左派が唱える「下水道社会主義」。ここにきてなぜ“復活”することになったのか Photo:Pacific Press/gettyimages

「どちらがましか」の選挙戦で脚光
バーナム英首相も類似の路線を掲げる

 米国で11月の中間選挙に向けた動きが活発化してきた。

 現状では、共和党、民主党ともに、有権者の期待は盛り上がっておらず、このままでは、「どちらがましか」を問う選挙戦になりかねない状況だ。

 上下両院で多数派の維持を目指す共和党は、まるで選挙戦を意識していないかのようなトランプ大統領の言動に振り回されている。

 有権者が期待するのはインフレ対策などの経済政策の成果だが、ガソリン高の根源であるイラン戦争では、トランプ大統領は停戦合意を維持できず、7月に入ると攻撃を再開、収束は見えない状況だ。

 7月16日にトランプ大統領が行ったテレビ演説では、戦争終結への見通しや、暮らしの改善に向けたメッセージが打ち出されるわけでもなく、世論の関心とはかけ離れた、2020年の大統領選挙での不正疑惑が主題となった。

 米オンラインメディアのPOLITICOは、中間選挙を気にする議会に対し、トランプ大統領からの配慮は「全くない」とする関係者の発言を引用している。予算などの議会での審議も、選挙制度改革に対するトランプ大統領のこだわりで滞りがちであり、地元に持ち帰る成果が欲しい共和党議員をやきもきさせている。

 一方で民主党は、党内で中道と左派の路線争いが続いており、トランプ失政にもかかわらず、好感度は上がらないままだ。

 CNNが26年7月23日から27日にかけて行った世論調査では、民主党に「好感を持っていない」との回答が51%に達し、「好感を持っている」とする回答を21%ポイントも上回っている。「好感を持っていない」と「好感を持っている」の差は、共和党と変わらない水準だ。

 成果の示しようがない共和党は、民主党の批判に頼る以外に選択肢がなく、党内の路線争いに注目されたくない民主党は、トランプ大統領への批判を強め、多数派交代の必要性をアピールする戦略に傾斜する。

 二大政党が互いの批判に軸足を置き、「どちらがましか」を問う選挙には、前向きな政策論争を期待するのはなかなか難しい状況だ。

 こうした中で注目されているのが、ニューヨークのマムダニ市長ら民主党の左派が唱える、公共サービス拡充を通じ暮らしの改善を図る「下水道社会主義(sewer socialism)」という考え方だ。

 政府の力を使った生活の改善を重視する路線で、英国で首相に選ばれたバーナム氏の「マンチェスター主義」とも類似性がある。

 実はこの政治思想は20世紀初頭に源流がある。ここにきてなぜ“復活”することになったのか。映し出すのは信頼を失った政治の現状だ。