分断の深刻化招く米政治の変Photo:Kevin Carter/gettyimages

民主党下院多数派奪還の予測、10日間で10%低下
区割りの司法判断で不利な判決相次ぐ

 11月3日の中間選挙の投開票日まで半年となった5月上旬、オンライン予測市場のカルシで、4月29日までは85%前後で推移していた下院で民主党が多数派奪回を予測する割合が、5月9日までのわずかか10日間で74%へと急降下した。

 世論の風向きが急変したわけではない。世論調査専門家のネイト・シルバー氏による各社世論調査の集計によれば、この期間、議会多数派の共和党を率いるトランプ大統領の支持率は30%台後半で低迷を続けていた。

 どちらの政党を中間選挙で支持するかを聞いた世論調査でも、民主党への支持が共和党への支持をじりじりと引き離しており、5月9日時点で約6%ポイントの差をつけていた。

 前回の本コラム『トランプ支持率低下でも米中間選挙の民主党「両院制覇」は高いハードル、「共和党よりまし」で勝ち切れるか』(2026年5月4日付)でも取り上げたように、世論はおおむね民主党に有利であり、下院だけでなく上院でも多数派交代の可能性が指摘され始めていたのが現実だ。

 それにもかかわらず下院の見方が急変したのはなぜか。背景には、選挙区の区割りに関する連邦最高裁判所とバージニア州最高裁判所の二つの司法判断がある。

 共和、民主両党は中間選挙を前に選挙で有利になるよう、選挙区の区割り変更を進めてきたが、過度に人種を考慮した区割りが違憲とされるなどで、共和党が8州で計16議席増となるのに対して、民主党は2州で計6議席増にとどまるとの予想が出ている。

 今の支持率の差を考えると、それでも下院で民主党有利の情勢は変わらないが、中間選挙後も、両党の「区割り戦争」は続くとみられる。民主党は州政治の掌握で共和党に後れを取っており、「区割り戦争」の延長戦でも正念場が続く。

「区割り戦争」は米国社会の分断だけでなく、長い目で見れば米国政治の変質にもつながりかねない可能性をはらむ。