米国上場に投資家殺到
要注意!資金一極集中リスク

 投資ポートフォリオとしては、リスクを分散するために銘柄は分けた方がいい。ところが現在の市場環境は真逆。まさに、AI一極集中ブームだ。

 7月10日、SKハイニックスは米ナスダック市場にも上場した。約4兆円にも上る資金を調達し、データセンター向けのメモリーチップ供給体制を引き上げるのが目的だ。

 韓国ウォンよりも流動性が高い、米ドル建てのSKハイニックス株を手に入れようと、IPOに申し込む投資家は殺到した。6月の米スペースXのIPO同様、有力AI銘柄への投資熱は高い。

「AI関連銘柄さえ買っておけば、大きなメリットがあるのは間違いない」――こう思い込む投資家は多い。韓国の証券業界では、年初来のKOSPI上昇率の70%近くは、サムスン電子とSKハイニックスによるものと推計される。

 2社の株価急騰を除くと、KOSPIは4000ポイント台前半で推移しているはずとの見方もある(ただし7月上旬は7500ポイント前後)。SKハイニックスとサムスン電子以外、大きく上昇した銘柄は見当たらない。同じことはTSMCの時価総額割合が高い台湾、キオクシアの値上がりが鮮明な日経平均株価にも当てはまる。

 今後、AI銘柄一極集中のリスクには注意を払った方がいい。仮に、サムスン電子とSKハイニックスの株価が下落すると、韓国の株式市場は急速な調整に見舞われるだろう。資金流出からウォン安が加速することも考えられる。

 その場合、メモリー半導体の製造に必要な、部材や製造装置メーカーの株も売られるはずだ。それは、わが国やオランダ、米国、台湾の株式市場を不安定にさせるだろう。

 また、米国では借り入れやレバレッジ型のETFが急増している。この分野にも逆風が及ぶ。現在、米国には単一銘柄や仮想通貨に連動する、レバレッジETF(ブル型とベア型)が600本ほど上場している。昨年だけで、その半数が上場したようだ。

 韓国でAI相場が変調を来すと、米国のAI銘柄のレバレッジETFから資金は流出するだろう。世界的なAI一極集中相場は一方向に急速かつ大きく振れ動く可能性は高い。