富裕層必見!資産防衛&節税術Photo:PIXTA

多くのファミリービジネスは、世代交代が進むにつれて、「創業家の存在感の低下」という壁に直面する。人生の全てを懸けて築き上げた創業者の情熱や哲学は、時の流れとともに組織の中で埋もれ、これが企業文化やガバナンスに深刻な影を落とすケースが少なくない。連載『富裕層必見!資産防衛&節税術』の第31回では、なぜ創業家の影響力は希薄化してしまうのか、その理由と共に、創業家が講じるべき対策について解説する。(岩崎総合法律事務所代表弁護士・シニアプライベートバンカー 岩崎隼人)

世代交代とともに訪れる
創業家と会社との関係の希薄化

 創業家は企業の「原点」であり、全ての始まりである。ゼロから会社を起こし、幾多の試練を乗り越えて守り抜いてきた創業者の哲学やカルチャーは、企業のブランド価値を揺るぎないものにし、従業員のエンゲージメントを引き出す原動力でもある。

 しかし、世代交代を迎えていくと、創業家と会社との関係性は次第に変化せざるを得ない。創業者が全てを懸けて築き上げた情熱やカルチャーは、時として組織が大きくなる中で埋もれていき、創業家の「存在感」は薄れていくことがある。

 これが、企業の文化やガバナンスに与える影響は小さくない。求心力を時代に合った“カタチ”で保ち、あるいは復活させることができるのか。これは昨今のファミリービジネスにおける最も本質的な課題の一つとなっている。

 企業を創り上げた原点を守り、未来へ確実につなぐ――。そのために、創業家は何を守り、どこまで関与するべきなのか。誰がその役割や重責を担い、創業者の想いをどのように継承していくのか。

 当事務所では、会社経営者や資産家、投資家など、資産や収入の多いクライアントに対し、目先の節税対策だけでなく、法務・ガバナンスまで一気通貫したサポートを重ねてきた。

 次ページでは、こうした経験から得られた知見を交えながら、経営者が直面するこの希薄化の問題の原因を分析した上で、講じるべき対策を解説する。