日本美容皮膚科学会のドロ沼内紛、決戦の社員総会迫る!“改革派”代表に1700万円の「身内寄付」発覚と裏に見え隠れする大手製薬会社の影Photo:PIXTA

元理事長らとの内紛に揺れる日本美容皮膚科学会の社員総会が7月末に迫っている。元理事長ら「改革を目指す会」は、学会の学術大会で得られた余剰金が大会トップの所属大学等に寄付されている状況を「特定団体への利益供与」と問題視し、ガバナンス改革を訴える。ところが、改革派代表として社員総会に候補者を擁立している船坂陽子・日本医科大学名誉教授が、自身が会頭を務めた2020年学術大会で生じた余剰金の大半を、所属する日医大に寄付していたことが分かった。特集『狂乱の美容医療 膨張市場の「闇」と錬金術』の#5で詳報する。(フリーライター 村上 力)

元執行部と改革派の勢力は拮抗
7月末の社員総会で激突へ

 美容医療業界を代表する学術団体・日本美容皮膚科学会の社員総会が今月末、仙台で開催される。『【スクープ】日本美容皮膚科学会で「ドロ沼の内紛」進行中!元理事長派が“不透明会計”を追及する一方で製薬マネー漬け疑惑発覚の大ブーメランで既報の通り、同会では理事長の須賀康・順天堂大学教授ら現執行部と、元理事長の川島眞・東京女子医科大学名誉教授ら「日本美容皮膚科学会の改革実現を目指す有志の会」(以下、改革の会)の対立が表面化している。

 日本美容皮膚科学会は、理事18人、代議員73人で構成。学会の理事は、代議員が議決権を持つ社員総会で選任されると定款に記されている。

 改革の会が会員向けに開設したウェブサイトによると、「改革案」賛同者に名を連ねている理事は5人、代議員は26人で、理事会・代議員会の3割程度にとどまる。改革の会のサイトによれば、他に非公表の賛同者が理事に2人、代議員に16人いるとされ、これを加えると代議員の過半数を改革の会が掌握することになる。

 今年6月に結成された「日本美容皮膚科学会の改革を目指す代議員の会」(代表・船坂陽子・日本医科大学名誉教授。以下、代議員の会)は、7月末の社員総会に11人の理事候補者を社員提案として擁立した。一方、現執行部側の理事候補者は10人にとどまる。

 昨年8月ごろから始まった元理事長らによる「学会改革」を掲げた造反運動は、総会で決戦を迎えるが、ここに至る経緯を検証すると、その大義名分には疑問が湧いてくる。

 造反運動や社員提案は、「現執行部が不透明な会計処理に対する質問に答えていない」ことを理由としたものだ。だが実際には、現執行部は質問事項に回答している。しかし改革の会が会員に説明してきた経緯では理事会の回答がなかったことにされ、現執行部の「不誠実な対応」が独り歩きしてきた。

 また改革の会は、学会のガバナンスの在り方を批判するが、発起人の一人である渡辺大輔・愛知医科大学教授は、利益相反委員長であったにもかかわらず製薬会社からの報酬を学会に過少申告していた疑義がかけられている。

 さらに今回、代議員の会代表の船坂教授が、自身が会頭を務めた2020年の日本美容皮膚科学会・学術大会で生じた多額の余剰金の大部分を、所属する日医大に寄付していたことが分かった。

 改革の会は、学術大会で生じた余剰金が、会頭の所属大学に寄付されていることを「特定の個人・団体への利益供与」だと指摘し、これを規制する改革案の実現を運動目標としてきた。だが船坂教授の行動は、改革案の根本的な趣旨に反するものであると言わざるを得ない。

 自己矛盾だらけの造反運動の背景に何があるのか。次ページで検証する。