Photo:Visoot Uthairam/gettyimages
顔のくま取りや肌質改善をうたい大手美容クリニックで提供されている「bFGF注射」を巡り、美容クリニックを相手取った訴訟が相次いでいる。注入後に細胞が必要以上に増殖し、不自然な皮膚隆起やしこりが残る深刻な副作用が多発しているからだ。使用されている薬剤の製造元・科研製薬も、10年以上前から「皮下注入は対象外」と異例の注意喚起を続けてきた。それにもかかわらず、なぜ大手は施術をやめないのか。特集『狂乱の美容医療 膨張市場の「闇」と錬金術』の#4では、独自入手した当時の「同意書」の中身などから、美容医療界のモラルハザードの深層に迫る。(フリーライター 村上 力)
ヒアルロン酸に代わる若返り
安全性をうたうbFGF注射の流行
肌質改善や顔のしわ・くま取り、豊胸などの美容整形を、シリコンの挿入といった切開を伴う外科手術ではなく、薬剤の注射により組織の増殖を促す美容施術として、「bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)注射」が大手美容クリニックで提供されている。
従来、注入療法としては「フィラー」と呼ばれる施術が一般的で、保水力を持つヒアルロン酸や、ジェル状の物質であるアクアフィリングを注射する施術がある。
だが、ヒアルロン酸は注入した製剤が体内に吸収されることで、効果が数カ月と短期間に終わることが多い。比較的安全とされるが、
アクアフィリングは効果の
そうした中で、安全かつ効果が長期的に持続するとして注目されてきたのが、顧客から採取した多血小板血漿(PRP)を注射する「再生医療系」の注射療法である。PRPが持つ組織修復能力による肌質改善を期待したもので、顧客自身の血液を使うので安全性が高い。
ところが、PRPに細胞の増殖を促す薬品を添加して、患部に注射するという施術が出現してきた。「プレミアムPRP皮膚再生療法」「成長因子添加PRP」と呼称されているが、薬品の有効成分がbFGFであることから、ここでは「bFGF注射」とする。
このbFGF注射を巡って近年、顧客と美容クリニックとの訴訟が相次いでいる。いずれも「七大クリニック」の一角を占める、ある大手を相手としたものだ。ダイヤモンド編集部は、そのクリニックが顧客に提示している「同意書」を入手した。
次ページでは、そのクリニックの実名と訴訟の具体的な中身を明らかにし、製薬メーカーが発し続けていた「警告文書」の存在、そして患者に渡されていた同意書に隠された、驚くべき事実を白日の下にさらす。







