かくして中国の軍事力は拡大の一途をたどり、西太平洋における米中の軍事力は圧倒的に差がつけられてしまいました。戦闘機は米軍が175機に対し中国軍は1050機、戦闘艦は米軍12隻に対し中国は46隻、潜水艦は米軍が10隻に対し中国軍は48隻など、格差が明らかになってしまっているのです。

 自国周辺のみが展開地域である中国と、中東やアフリカなど世界を担務する米軍では総力では米軍が依然として世界一であることは変わりませんが、アジア地域を見れば中国の独壇場になりつつあると言えます。

 特に問題なのは、ミサイルの数です。中国は地上配備型中距離ミサイルを約2000基保有していると言われるのに対し、米国は「ゼロ」です。冷戦時代、米ソ間で結ばれた中距離核戦力(INF)全廃条約により、射程500キロから5500キロの地上配備型中距離弾道ミサイル、巡航ミサイルはいずれも全て廃棄したからです。

 トランプ大統領が「中国が加わらない中でのこの条約は意味がない」と、INF条約を継続することを止めましたが、気づけば「ミサイル・ギャップ」は容易には回復できないレベルに達していました。このミサイル等の不均衡の状態により、在日米軍・在韓米軍、さらにグアムの米軍基地までが中国の攻撃に晒されるエリアに入っており、この状況下で米軍がアジア地域にとどまることは厳しくなってきています。つまり、米国の抑止力がなくなる恐れがあるのです。

 また、台湾も対艦ミサイルを数多く保有していますので、中国が軍事行動に出る場合、まずは対抗手段を持たない日本を狙う可能性もあるのです。

 ロシアがウクライナに侵略する際、最初にミサイル攻撃で徹底的にウクライナの軍事インフラを切り崩したように、中国は在日米軍基地を最初のターゲットにするかもしれません。その認識が強くなれば、「基地があるから攻撃される可能性が高まるのだ。だから米軍基地は要らない」という声が国内に沸き上がり、日本の抑止力を自ら失う事態になる可能性も考えられます。