私たちが今すべきは、そうした事態にならないように、力の均衡を維持することです。そのためには、軍事技術の均衡も維持していかねばなりません。
すぐそこにある危機
台湾有事が「いつあるか」については、2027年頃が濃厚だとの分析があります。習近平は4期目も目指すと言われており、そうすると2028年が次の選出の年になることや、現時点で台湾上陸を企図しても輸送力が不足しているものの、その頃までには兵力の輸送手段も十分になると考えられるからです。さらに、2027年は人民解放軍の創設100年という節目の年にもあたります。
力の不均衡は中距離ミサイルだけではありません。今、急速に中国、ロシア、北朝鮮が開発を進めている極超音速ミサイルは米国も迎撃能力を持っていません。このような米国の「穴」の数々を埋めることが必要です。わが国がすべきことはかなり多いのです。ただ、ミサイルの不足が顕著であるために、その強化に関心が向きがちですが、防衛力はどれか一つだけを強化すればそれでいいというものではないことも同時に理解する必要があります。
桜林美佐『軍産複合体:自衛隊と防衛産業のリアル』(新潮社)
いずれにせよ、日本の様々な技術力が米国の「穴」(力の空白)を埋め、日本が米国にとって必要な存在になることが最も望ましいでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、米国をいかに日本やこの周辺地域の防衛に巻き込んでいくかが命運を分けることになるからです。そのためには、依存度が高かった従来の日本の考え方を改め、米国の負担を軽減させるためにも自主防衛力を高めていかなくてはなりません。
「自分の国は自分で守る」というのは、国防の基本です。それは、米国や仲間になってくれる国なしで1国で守るということではありません。「自分の国は自分で守る」という姿勢がないと、誰も協力してくれないのです。だから、自分の国は自分で守る気概で技術を一つでも多く生み出し育てていかなくてはならないのです。
最近は日米だけでなく日米豪印(いわゆるクアッド)、さらには英国など欧州諸国との多国間連携の動きも加速されています。南シナ海のようなコモンズ(公共財)を守って行くには、国際的な連携が欠かせません。その中でわが国が何をするのか、お題目だけではない具体的な実力が問われるようになっているのです。







