「経済の二極化」への対応も含む景気支援策に要注目

 4~6月期の成長率は政府目標の「+4.5~5%」の下限を下回ったが、1~6月累計では+4.7%と目標範囲内にとどまった。ただし年後半も、不動産市場の調整継続を背景に投資・消費の弱さが続き、景気は減速傾向をたどるとみられるため、目標達成は容易ではない。

 成長率目標達成のためには、内需の弱さを年後半の政策対応でどれだけ補えるかが焦点となろう。そのため、7月末開催予定の重要会議、党中央政治局会議で示されうる景気支援策に注目が集まっている。

 投資については、政府が重視するAIや半導体など先端分野の設備投資拡大に加えて、インフラ投資の強化が下支え役となろう。インフラ投資は、地方政府専項債(※2)の発行や「新型政策性金融ツール」(※3)と呼ばれる政策性銀行(政府系金融機関)による8,000億元の金融支援などが資金源として活用される見込みである。最近では、「6つのネットワーク(六張網)」 と呼ばれるインフラ強化策(※4)も示されている。

(※2)地方政府がインフラ整備などの公益事業の資金調達のために発行する地方政府債券。事業収入を返済原資とする。2026年は4.4兆元分の発行が予定されている。
(※3)政策性銀行が金融債発行などの方法で資金を調達し、インフラや新興産業関連など重要プロジェクトの資本金を補充する政策手段。
(※4)AI・デジタル化の発展や民生改善などに対応するため、水利・新型電力・計算能力・都市地下管(ガス・水道など)・物流の6分野でネットワーク整備を強化する方針。

 一方、消費に関しては、消費拡大に関する五カ年計画が7月13日に発表され、2030年までに社会消費品小売総額を60兆元まで拡大(すなわち今後5年間で年平均+3.7%成長)させる方針が示されたが、サービス消費の促進、デジタル・グリーン消費の発展、インバウンド消費の促進など、総花的な内容にとどまっている。今後、この計画に基づき具体的な政策が発表される可能性はあるが、不動産不況による逆資産効果や雇用・所得環境の悪化が重石となり、消費の自律的回復には時間を要するだろう。

 また、最近「K字型経済」とも形容される経済の二極化に対し、党指導部が対応を進めるかどうかにも注目である。

 足元の中国経済は、(1)外需が好調な一方で内需が悪化、(2)AI関連など一部新興産業が急拡大する一方、不動産・建設、消費関連、従来型製造業などが不調、(3)大企業が堅調な一方、中小企業が経営難に直面、といった二極化の傾向が顕著となっている。

 中国人民銀行(中央銀行)も、最近の金融政策委員会会合(7月4日)にて、足元の景気の課題として「構造的な分化」に言及した。産業・企業間の格差、そして、所得階層間の格差が拡大している中では、単純な財政拡大・金融緩和よりも、不動産市場の安定化、雇用・所得環境の下支え、中小企業への資金繰り支援など、弱い分野に的を絞った政策が一層重要となるだろう。