小菅:ところが、キリギリスは草の密集したところにいるから、体を下向きにして止まってるんです。だから僕に気がついた瞬間に真下に落ちる。それで下の根っこの方に潜んじゃうので獲れない。

山極:なるほど、逃げ方が違うんですね。

与えられた遊び道具では
創造性がうまく育たない

小菅:クモも不思議な生き物なんです。屋外のオニグモの巣に、モンシロチョウなんかをポッと投げてやると、ちゃんと絡めて捕って餌にするんですが、家の中では違う。僕は子どもの頃、このことを発見したんです。

 僕はありがたいことに自分の部屋を与えられていたので、クモがどうやって巣をつくるのかを見たくて、部屋にオニグモを放したんですね。彼らは本当に見事な巣をつくる。一番大きなクモがど真ん中につくるんです。巣は野生と同じ形。

 ところが、このクモの巣にモンシロチョウを投げてやっても食べない。蛾をやってみたけど駄目。結局、1回も食べなかった。なぜ食べないのか不思議でしょうがない。屋外では何でも食べるのに、家の中で食べないのは何かが不満なんだと思うんですが、それがなぜかいまだにわかりません。

山極:面白いね。そこから新しい学問が芽生えるかもしれません。

小菅:自然の中にいれば、こんなふうに面白いことはたくさん見つかるはずなんですよね。

山極:子どもは何もないところでも遊ぶことを見つけるし、そこに仲間がいれば遊びはもっと多様になる。ところが、効率性ばかりが求められる今は、幼稚園で遊び方を教えている。

 遊ぶ道具を与えられ、こうやって遊ぶんだよって教えられれば、子どもたちはそれが当たり前だと思って一生懸命やるでしょ。

 パソコンだって、そこで仕掛けられたものにどんどんチャレンジしていくのは面白いかもしれないけど、それはすでに決められたルールの上でのことだから、子どもの関心は、そのルールを覚えることばかりにいってしまう。

 子どもにとって本当に重要なのは、自分で見つけることなんですよね。