ドル建てステーブルコインが果たす重要な役割
トランプ政権は暗号通貨、とくにステーブルコインを推進している。
私は以前、ダイヤモンド・オンラインに寄稿した「トランプ大統領が『米国初の暗号資産法』で仕掛ける“金融革命”、日本に迫る“地殻変動レベル”の大チャンスとは?」で、2025年7月に成立した「ジーニアス法(GENIUS)」について紹介した。
ドル建てステーブルコインは、民間企業が発行する実質的な「デジタルドル」だが、重要なのは、その裏側で発行会社が準備資産を持たなければならないことだ。
利用者がドル建てステーブルコインを購入すると、発行会社はその資金の裏づけとして、現金や短期米国債などを保有しなければならない。ステーブルコインが世界中に普及すればするほど、米国債に対する巨大な民間需要が生まれる。
ベッセント財務長官はステーブルコインの裏づけを米国債に義務づけるジーニアス法の成立時に、ステーブルコインは世界中の数十億人をドル経済につなぎ、「米国債への需要急増」をもたらすと主張する。
累積赤字が積み上がるアメリカにおいて、大量に発行される米国債を着実に消化することが大きな課題になっていた。だが、ステーブルコインの普及が拡大するうちは、その懸念は解消されることになる。
その構想の核にあるのは、これまでFRBの巨大なバランスシートが抱えていた米国債を、世界中の民間資金が保有する新しい仕組みを作ることである。ステーブルコインの普及によって、FRBが米国債購入を拡大させることなく、ドル需要と米国債需要を世界に拡大できる。
これは「FRBが米国債を買う金融秩序」から、「世界が米国債を買う金融秩序」への転換である。私は前述の記事で、FRB主導を再び政府(財務省)主導に取り戻すべく進めるこれらの制度構築への一連の動きを「トランプ金融革命」と記した。







